開発者に訊く「バージョンアップで広がり続ける『マリオテニス エース』の世界」(ニンドリ19年7月号より)
2018年6月22日の発売から、約1年が経った2019年4月15日。『マリオテニス エース』はVer.3にアップデートされました。本アップデートは新キャラや新ムービー、新モードなど盛りだくさんの内容となっています。本記事ではその際にニンテンドードリーム誌上に掲載された開発スタッフのコメントを再録します。
現在も色褪せていない、アップデート型になってより広く深くなった『マリオテニス エース』の話を訊くことで、その制作理念に迫ります。
※ニンテンドードリーム2019年7月号収録
Ver.3の新要素と長期的なアップデートで得られたことを訊く
『マリオテニス エース』はVer.3で新モード「リングショット」や新キャラ、そしてなんとオープニング映像に新たなシーンが追加されるなど盛りだくさんの内容でした。本記事では、開発スタッフに新オープニングの話や、キャラクター、アップデート運営についてを訊いた内容となっています。
※本インタビューは2019年4月のアップデート時に行われたものです。その後、更新データにより新たにキャラクターなども追加されています。アップデートの内容は公式サイトをご覧ください。
※更新データのダウンロードにはインターネットに接続する必要があります。
Q.ムービーに新たなシーンを加えたのはなぜですか?
※新しいオープニング映像は、すでにプレイ済みの人もストーリーモード内のメニューから見ることができます。
(開発スタッフより) 実はストーリーモードのシナリオを詳細に作っていく前に、すでにオープニングムービーのイメージはあったんです。最初にどういう事件が起こって、最後はどうやってオチをつけるのかが決まってからでないと、具体的なシナリオの中身は書けませんので。
ストーリーモードをプレイしていただくために、あのマリオと仲が良いルイージが敵になってしまう、助けなければいけない、という動機づけは強く見せたい部分でしたので、開発当時にムービーにできそうなコンテも用意しています。
ただ発売に向けた開発中は、エナジーを使った新ショットなどゲームの内容面で多く挑戦しないといけないこともありましたので、オープニングはゲームの仕組みを使ってなるべくコンテを再現する形で作りました。唯一ルイージがラケットにあやつられて姿が変わってしまう場面だけは、ムービーにしないと何が起こったのか理解できないだろうということで、カットシーンを作ることにしました。
ワリオとワルイージの掛け合いも含め、本当はストーリーの始まりの全貌を知っていただきたいという思いもありましたので、こうやってオープニングムービーを入れることができたのは、ほっとしました。発売から多くのご支持をいただき、今でも遊んでいただいているプレイヤーさんがいて、まだまだ盛り上がりが期待できるからこそ、このタイミングで入れることができました。これはかつてないことで、とても感謝しています。
秘蔵絵コンテ大公開!
Q.歴戦のプレイヤーで、こだわった部分はありますか?
(開発スタッフより) ゲームルールが以前とは違いますから、過去作の特徴まったくそのままとはいきませんでした。また追加される価値のあるキャラクターとして、対戦の環境に一石を投じて新しい刺激を与える役目を持ってもらうため、それぞれユニークな特徴を持たせています。
ノコノコであれば、強いドロップショットを打ちやすい。逆にパタパタは強いロブを打ちやすい。チコはライジングでボールを打つとショット威力があがるなど、一芸をもたせています。
プレイ方法や立ち回りに関わる特性をつけることで、それぞれプレイスタイルがはまるプレイヤーさんが使いこなしてくれて「このキャラクターといえばこのプレイヤーさん」といった、スター選手が出てきてくれることも期待していました。
どのキャラクターにも、すさまじく強い使い手が現れてくれて、いろんなキャラクターがランキングボードを賑わせてくれているのは、とても嬉しいです。
Q.新参戦のプレイヤーはどのように決めたのですか?
(開発スタッフより) 新規プレイヤーキャラクターについては、ストーリーモードで作りたいシチュエーションで必要だったキャラクターと、純粋にそんなのアリ?と驚かせたい気持ちで選出したキャラクターがいます。ロンチ時に選出した「ワンワン」は、知名度はあるものの、誰もプレイヤーとして動かしたことがない、腕もない、まさかの参戦キャラクターとして登場してもらいました。
「ポリーン」は、前々からダブルスをプレイする際に、女性キャラクター4人の対戦もできれば良いなと考えて候補にはしていました。今回、更新データの制作を検討していく期間の中で、『スーパーマリオ オデッセイ』で改めて知名度があがったことも重なって、『スーパーマリオ オデッセイ』からのゲストという形で登場してもらうことができました。
地上でテニス勝負をするのに、「ゲッソー」の参戦などは、かなり攻めた選出だったと思います。ゲッソーもファミリーコンピュータの時代から登場している、歴史が長いキャラクターですよね。ですが、水中にいるキャラクターですから、砂漠でテニスをしていたらおかしいので、ゲッソーを登場させるにはどうすれば良いだろう、という相談を重ねていきました。最終的には入場シーンで、水たっぷりのバケツでジュゲムに連れてきてもらう、という形で参戦しています。
Q.アップデートを続けていく中で、印象的だったことを教えてください
(開発スタッフより) 継続的なアップデートは、マリオテニスシリーズとして初めての試みでした。期待よりも上のものを作り続けたいと挑戦し続けて、とても大変な1年ではありましたが、発売からほぼ1年経過してこれだけ多くのプレイヤーさんが遊んでくれているのは、開発者冥利につきます。
一番印象的だったのは、「Nintendo Live 2018」で、出場された選手の皆さんとお話しする機会があった時に、応援に来られていた選手のご家族からいただいた言葉ですね。熾烈な出場枠を争って出場した選手の皆さんは相当なゲームプレイ時間だったと思いますので、ご家族は心配されているのでは、とも感じていましたが、むしろこのゲームを作ったことに感謝の言葉をいただいて、とても嬉しい気持ちになりました。作って良かったなと、心から思うことができました。
また、キャラクターが追加され続けている限り続けます、という声もいただいて、キャラクターの充実が、大事なモチベーションになっているとも感じました。会場の歓声は忘れられませんね。
マリオテニス エース
対応機種:Nintendo Switch
発売日:2018年6月22日
希望小売価格:パッケージ版、ダウンロード版ともに6,578円(税込)
▶︎公式サイト
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