「伝説の名作RPG」の魅力に迫る!『バテン・カイトス I & II HD Remaster』インタビュー!
ゲームキューブで発売された名作RPG『バテン・カイトス 終わらない翼と失われた海』と『バテン・カイトスⅡ 始まりの翼と神々の嗣子』の2作品が1本になってNintendo Switchで復刻された『 バテン・カイトス I & II HD Remaster』。ディレクター・本根康之さんのインタビューをお届けします。
(ニンテンドードリーム2023年11月号より)
本根康之さんに聞く20年前の開発秘話
バトル中の背景データ、キャラクターグラフィック、UIの一部を描き直しHD化し、ゲーム進行をサポートする“便利機能”も追加された本作。インタビューに入る前に、RPG好きな人に自信をもってオススメできるこの2作品を簡単にご紹介します。
王道でありつつも掟破りな展開と
マグナスの収集・活用の楽しさが光る
バテン・カイトス
『バテン・カイトス 終わらない翼と失われた海』では、プレイヤーは精霊憑きの少年・カラスと行動を共にする精霊となって、彼といっしょに旅を続けることになります。
過去・現在が並行して語られる重厚な物語と
完成度を増したスピーディなバトル
バテン・カイトス II
『バテン・カイトスⅡ 始まりの翼と神々の嗣子』でもプレイヤーは精霊となり、主人公のサギと共に第三者として冒険に同行する形になります。
現在、2024年1月16日23時59分まで20%オフのセール中ですので、気になった方はぜひ遊んでみてくださいね。ゲームキューブ時代からニンドリ編集部オススメの2タイトルですので!
▶︎マイニンテンドーストア
今なお斬新さが光る個性派RPGが生まれたいきさつとは!?
本根康之さん
―― 20年前のゲームキューブ版『バテン・カイトス』企画当時、どのような作品を作ろうとされていたのですか?
本根 ナムコさんから「ゲームキューブに、剣と魔法の王道でありながら既存の大型タイトルとは違うRPG」。当時のナムコの原口洋一さん個人から「本根さん独自の鮮やかな色彩で」という2点の要望があり、テイストの方向性を固めていきました。
―― 『バテンⅠ』と『バテンⅡ』の幻想的な世界観はどのように作られたのでしょうか?
本根 街や城は、東欧、中東の要素を絵回りに取り入れつつもファンシーになり過ぎず、幻想的でありながら高い美意識を持って作られたよう描いています。誰が見ても美しいと感じるように。
私が先に幾つかの必須使用条件の浮島や街やダンジョンの絵を描き、バリエーションを持たせたうえでシナリオ、キャラクターの相談・発注する特殊な流れで進めたので世界観の幅を維持することができたかと思います。
私の先行した絵の中でクセの強いものは幻空都市ミラに多いかもしれません。お菓子村パルナスなんかも描いたあとにシナリオに組み込んでもらっています。
―― 「こころの翼」やマグナスカードといった、シリーズ特有の概念はどういうところから発想を得たのでしょうか?
本根 「こころの翼」はシナリオの加藤正人さん発案です。私の浮島の絵縛りの厳しい条件の中、みごとなアイデアを出していただけました。カード仕様バトルはトライクレッシェンドの初芝弘也さんが持ち寄った案で、それに意味を持たせるための『マグナス』という概念を入れシナリオに組み込んだのも加藤さんです。おみごと。
―― プレイヤー自身を主人公ではなく、第三者目線の「精霊」にしたのはどんな狙いがあったのでしょうか?
本根 『精霊』の第三者視点発案もシナリオの加藤さんです。主人公キャラと行動を共にしながら話の流れを作ったり、精霊に関するネタを仕込んだり、制作側も楽しめる要素になりました。
―― 独特で斬新なバトルシステムはどう作られたのでしょうか?
本根 カード仕様バトルはトライクレッシェンドの初芝さんが持ち寄った案で、正直形になるまで不安ではあったのですが、バトルが動き始めるとそのおもしろさに驚きました。カードが並ぶ絵面はどうしてもユーザーを選ぶように見えてしまうとは思うのですが、せっかくのアイデアを生かすよう絵回りもスタッフががんばってくれました。
―― マグナスカードが時間経過とともに変化するのも特徴的ですね。
本根 時間経過などは、トライクレッシェンド側のバトル担当からのアイデアです。結果、トラクレ側もモノリス側のビジュアルもやや暴走気味になり世界観が危うくなりそうなところまで突っ走ってしまったのですが、私は止めませんでした。お客様が楽しめる事優先で。
―― 『バテンⅠ』と『バテンⅡ』でデッキの形式などが異なる理由は?
本根 『バテンⅡ』は『バテンⅠ』よりさらにテンポよく遊びやすいようトライクレッシェンド側から変更の要望が強かったと思います。
―― いま遊ぶとしたら、『バテンⅠ』と『バテンⅡ』どっちからプレイしたらいいでしょうか?
本根 もちろん『バテンⅠ』のあとに『バテンⅡ』。こちらの意図としてはそうなりますが、逆もアリかもしれませんね。
―― 『バテンⅠ』の主人公・カラスと『バテンⅡ』の主人公・サギのデザインについては、当時どんなイメージで固めていったのでしょうか?
本根 カラスの初期案は日暮央さんに、加藤さんが『こころの翼』と序盤のプロットを固めるくらいから、日暮さんにはカラスの初期案に早々に取り掛かってもらいました。
その後ヒロイン、マップ絵からイメージを膨らませてもらってほかの仲間キャラを。実は『バテンⅠ』は仲間キャラのデザインが出そろったあと、私のわがままで顔をリアル寄りに大幅に修正してもらっています。初期のプレイアブルキャラクターはもっと目が大きくてかわいらしくそれはそれでよかったのですが。
『バテンⅠ』も『バテンⅡ』もバトルモーションのバリエーションも考慮したうえで、キャラデザインしてもらっています。ギロだけは特殊でキャラデザ決定後、さらに不気味さを増すために、私とモーション担当で軟体キャラにしました。
―― 『バテンⅠ』のカラスは主人公としては珍しい性格ですが、性格や設定など、開発当時こだわったことはどんなことでしょうか?
本根 シナリオの加藤さんがセリフを書くごとにカラスの性格が見えてくるのですが、つかみどころがなく難しいキャラだと思います。日暮さんも苦労されたのではないでしょうか。
―― 当時キャスティングはどのように決めていったのでしょうか?
本根 声優さんは、デモCDを私とプランナー数人で聞き、最終決定を私がしました。当時の私は声優さんにあまり詳しくなく、デモCDを聞いてキャライメージに合う方を選考させていただいたのですが、その後のご活躍に驚いております。一番即決できたのはミリィの小林ゆうさん。声がイメージ通りでした。
―― ミーマイ(グレイソーン)がかわいいですね! 当時はセーブデータのアイコンにもなっていて、「バテン・カイトス」シリーズのマスコット的キャラかと思いますが、本根さんが思うRPGにおけるマスコットキャラについて、考えなどがありましたらお聞かせください。
本根 あまり狙ったようなマスコットキャラは正直好きではありません。ミーマイはこんな不思議な世界設定の中で、よくぞ絶妙なバランスと愛嬌を持ち合わせたキャラを発案できたなぁと。日暮さんに感謝ですね。
―― 最後に、リマスター版でプレイする読者にメッセージをお願いします。
本根 20年も前のゲームになりますが、異世界の旅をゆったりと楽しんでいただけたらうれしいです。きっとステキな思い出作りになると思いますよ。
本根さんに一問一答
Q.『バテン・カイトス』シリーズで好きなキャラをひとり選ぶとしたら誰?
A.『バテンⅡ』のギロ。ほかのどのゲームにもなかったキャラだと思います。
Q.お気に入りのマグナスカードは?
A.スフォルツァンドですね。
Q.理想のRPGとは?
A.肩の力を抜いて冒険旅行をたのしめるRPGが私は理想かもしれません。緊張の連続じゃ疲れちゃいますから。
Q.RPGで一番重要なことは?
A.無理なく自然にその世界を楽しめたり、現実の社会に繋がる発見や体験ができることかもしれません。
Q.最近食べた美味しいものは?
A.京都先斗町で食べた、鱧の天ぷらです。
<関連リンク>
▶︎『 バテン・カイトス I & II HD Remaster』公式サイト
<商品概要>
対応機種:Nintendo Switch
発売日:2023年9月14日
価格:パッケージ版、ダウンロード版ともに5940円(税込)
ジャンル:君とはじめて出会うRPG。
発売元:バンダイナムコエンターテインメント
CERO:12歳以上対象
▶︎マイニンテンドーストア購入ページ
▼こちらの記事もお楽しみください
BATEN KAITOS TM Series & ©Bandai Namco Entertainment Inc.
©Nintendo