バディミッション BOND 開発者インタビュー #3 熱狂は留まらない

contents
#1 京と紅玉
#2 誌面上のランデブー
#3 熱狂は留まらない
#4 サイドエピソード
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多様性がきらめく『BOND』のシナリオ

ルビーパーティーブランドによるシナリオ制作の強みと新たな挑戦

―― 『BOND』のシナリオ制作やキャラクターの演出について、これまでのルビーパーティーさんの強み、スタッフの個性などを存分に生かせたのはどういった点でしたか?

襟川 ルビーパーティーブランドのシナリオ制作において、一番大事にしているのは「お客様を置いてきぼりにせず、ストーリーに没頭してもらう」ことです。キャラクター同士の関係性や、目の前で起きていることについて理解出来ない瞬間があると、やはり冷めてしまうと思うんですね。誰もが楽しめるゲームとして作った『BOND』でも、そのポリシーを大いに活かせたと思っています。

杉原 また、『BOND』において特に意識していた「キャラクターの掘り下げ」や、「共感性の構築」についても、ルビーパーティーが得意とする分野でした。ブランドが長年手掛けてきたネオロマンスゲーム(※ルビーパーティーブランドが開発した女性向け恋愛ゲーム作品の総称)も、恋愛対象となるキャラクターを好きになっていただかないと成り立たないからです。

襟川 逆に、新たなチャレンジになったのは「相棒」に重きを置いた点だよね。

杉原 そうですね。2人のキャラクターの人生や考え方を交差させることで、2倍といわず、5倍も10倍も人間味が増していくような関係性を追求しました。ネオロマンスゲームでも、キャラクター同士の絆の描写をとても大切にしていますが、こと「相棒関係」という点についてここまで突き詰めて描いたことは、新しい挑戦と言えるかと思いますね。

さまざまな味わいとこだわりがたっぷり込められたシナリオ

―― 本作のシナリオチームについて教えてください。

杉原 『BOND』のシナリオには、多彩なスタッフが関わってくれています。バディエピソードの構成等を担当してくれたスタッフは、引き出しが多く、キャラクターの深堀りに余念がないタイプでした。いっぽう、捜査・潜入パートなどを担当してくれたスタッフは、システムの構築にも携わっており、遊びと密接に関わったやり取りをバリエーション豊かに制作してくれました。また、ルビーパーティー以外のメンバーも参加してくれています。メインストーリーやサイドエピソードは、『戦国無双』シリーズ等のシナリオを長年手掛けてきたスタッフと二人三脚で書いていましたし、バディエピソードのシナリオには『ファイアーエムブレム 風花雪月』でシナリオを担当したスタッフに加え、入社してまもない、瑞々しい感性を持ったスタッフも協力してくれました。すべてのパートにおいて、さまざまなメンバーの感性とこだわりが詰まっています。

—— 『BOND』はセリフ1つ1つの言葉選びまで奥行きを感じるので納得です!

杉原 とても嬉しいお言葉です。本作のシナリオで、多様性や味わい深さを評価していただけているのは、異なる強みや価値観を持ったメンバーが集まったおかげだと思っています。

襟川 本当にそうですね。同時に、優秀かつ個性の強いメンバーの書いた『BOND』のシナリオを、リードシナリオである杉原が世界観やキャラクター性を押さえてしっかりまとめあげたことで、これだけ評価をいただけるシナリオに仕上がったかと思います。

杉原 ありがとうございます。光栄です(狙ったわけではなく…)。

—— 宮内さんの方でストーリーについてご提案や調整などをお願いしたことなどはありますか?

宮内 基本的には口を出しませんでしたね。ゲームデザインに直結する「大筋」の部分は皆で議論しましたが、そこから詳細化していく作業は杉原ひとりでやったほうがいいかな、と最初から思っていました。皆がストーリーに口出しすると、かえってバランスが取れなくなるだろうなと。いろんな人が携わるからこそ多様性が生まれる、という考えにはもちろん賛同しつつ、核となる部分はリードシナリオ1人に作らせたい、そのほうが絶対に作品としてプラスになるはずだ、というのをずっと考えながらディレクションしていました。

※次のページからはネタバレを含みます。未プレイの人は注意!

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