バディミッション BOND 開発者インタビュー #4 サイドエピソード

「光」によって救われるたくさんの「絆」で恩返し

アナザーエンドの経緯と そこに込められた想い

—— 通常エンドのほかに隠し要素としてもうひとつのエンドが存在しますが、その経緯や想いなどを聞かせてください。

杉原 アナザーエンドは、やり込み要素として、絶対に作りたいと企画当初から熱望していました。ただ、スムーズに実現したかと言うと…(笑)。

宮内 紆余曲折ありましたね(笑)。プロジェクト半ばくらいだったかな、3Dモデルの進捗を確認するためにリストを確認していたら、内容がほぼ重複している箇所を見つけて。「これは何だろう?」って聞いてみたら、最終ミッションとアナザーミッションでした。当初のアナザーミッションは、あの潜入ステージをもう一度プレイしていただいた上で、最後にボスであるシキと戦うという構想になっていたので、「いやいや、それはさすがにやめてくれ」と言いました(笑)。お客様に、ほとんど同じ体験をもう一度していただくというのは、避けたかったんです。もちろん、アナザーミッション用の潜入ステージをイチからデザインして、違う遊びを提供することも考えられなくはなかったのですが、ゲームの制作スケジュールや進捗に鑑みて、当時の私にその選択肢は無かったですね。実は、アナザーエンド自体もいらないんじゃないか、と言っていたくらいなんです。

―― そうだったんですね。

宮内 でも、杉原が「絶対に“あれ”が必要なんだ」って…。それで、現在の形に落ち着きました。「アナザーミッション」ではなく、「アナザーエンド」になったわけですね。

襟川 (杉原さんに向かって)なぜ絶対に“あれ”が必要だったのかは、話しておいた方がいいんじゃない?

宮内 そうだよ、“敵の救済” の話をしなきゃいけないって!

杉原 いいんですか? では失礼して…(笑)。『BOND』においては、何がいい、悪いではなく、また、誰が善人で誰が悪党というのでもなく、「人と人とが深いところでつながる時、そこに本人たちにとっての光があってほしい」という思いのもと、ストーリーを構築していました。なので、敵対した人物との関わりや絆をきっかけにして到達する、もうひとつの結末を、どうしても描きたかったんです。例えるなら、通常エンドとアナザーエンドは双星です。どちらが正しいということはありませんし、どちらの光がより美しいということもありません。ただ、ゲーム内でたくさんの絆を結んでくださったお客様には、よりたくさんの絆でお返しがしたいという気持ちはありました。そういった思いを、宮内に泣きついて訴えましたね(笑)。

宮内 そんな可愛く泣きついてもらった覚えはないけど(笑)。

―― アナザーエンドが無かったら、また違った印象になっていたかもしれないですね。アナザーストーリーを展開するためには謎解きのようなものが用意されていますが、あの仕掛けはどのように生まれたのでしょうか。

杉原 プログラマーの、「昔のゲームって、よくタイトル画面でコマンド入力したら裏技が出てきたよね」という一言がきっかけで生まれました。そこから話が盛り上がって、「あれはワクワクしたよね」「鳥肌が立ったよ」「『BOND』でもやれないかな?」と。

―― あのコードネームは作中に由来が語られますが、先に決まっていたのですか?それともコマンド入力できるものという中で決定したのですか?

杉原 コードネームのほうが先に決まっていました。アナザーエンドで焦点を当てているキャラクターのコードネームが、Switchのコントローラのボタンで押せる文字列で成っていたのは、まったくの偶然でした。だからこそ、「この仕組みは絶対に実装しなくては」という不思議な使命感が、関係者の間に生まれましたね。

「ニンテンドードリーム」21年10月号掲載>

contents
#1 京と紅玉
#2 誌面上のランデブー
#3 熱狂は留まらない
#4 サイドエピソード
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バディミッション BOND
■任天堂
■2021年1月29日発売
■アドベンチャー
■7,128円(税込)
■CERO15歳以上
任天堂×コーエーテクモゲームスのタッグで制作された完全新作アドベンチャー。ヒーローを目指す警察官、世界的な大怪盗、元忍者のショーマン、魔性の詐欺師……訳ありの4人がチームを組み、暗躍する謎の組織を追っていく。
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