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小島文美氏の作品を堪能!アートから入門する『悪魔城ドラキュラ Castlevania Advance Collection』

KONAMIから9月24日に配信された、Nintendo Switchダウンロードソフト『Castlevania Advance Collection』。重厚なゴシックホラーが織りなす探索型アクションが特徴の本作。発売から永く愛され続けている名作が、4タイトル収録されて現代に復活しました。
今回は小島文美氏の作品を慕う筆者が、ビジュアルアートの観点から本作を紐解くプレイレビューをお届けします!

『Castlevania Advance Collection』
ゲームボーイアドバンスで発売された『悪魔城ドラキュラ』シリーズ3作品に加え、スーパーファミコンソフト『悪魔城ドラキュラXX』、そして初公開となる未公開アートやミュージックプレイヤーなどを収録。
便利機能「いつでもセーブ/ロード」「巻き戻し機能」「リプレイ機能」が追加され、さらに日本版・北米版・欧州版を全タイトルで切り替え可能な「ROM切り替え機能」も搭載されている。
※「ROM切り替え機能」ゲームのセーブデータは、バージョン別の管理になります。

 


現代に蘇った“至高のゴシックホラーアクション”

ゲーム起動時に現れる4作品のメインビジュアルはどれも美しく、つい見惚れてしまいます。なかでも『キャッスルヴァニア 白夜の協奏曲』『キャッスルヴァニア 暁月の円舞曲』の2作品は、イラストレーターの小島文美氏が絵画、キャラクターデザインを手がけています。儚げに描かれた人物と、パレットナイフで刻み込むように築き上げられた世界観。この一線を画す麗しさは、耽美派にはたまらないアートワークです。

こちらが小島文美氏による絵画作品。ふ、ふつくしい…

 

本作には“キャッスルヴァニアをより楽しめる機能”として『ギャラリーモード』が搭載されています。制作時の未公開アートや、発売当時のパッケージデザインが多数収録されていて、拡大表示してじっくり堪能できるのがまた素晴らしいです。
ギャラリーモードを堪能したところで、早速この4作品について触れていきたいと思います。

 


 

作品紹介1:『悪魔城ドラキュラ サークルオブザムーン』

ゲームボーイアドバンスで発売された、キャッスルヴァニアシリーズの探索型アクション第1作目。ドラキュラ復活を阻止すべく、師と共に悪魔城へ向かったネイサン・グレーブスの物語を描く作品。

ゲーム開始のプロローグにて驚く展開があったため、この作品については冒頭から紹介いたします。本当にびっくりした。

オープニングムービーではあらすじを紹介してくれます。ドット絵とは思えない、この重厚感!文字が血のように流れていく演出がニクイ…!

そして、ドット絵からでもわかるイケメン(イケおじ)のドラキュラと、美しきカーミラ。「混沌を欲する者の手によってドラキュラ復活の儀式が行われた」とあるので、このカーミラが事の発端なのでしょう。お姫様かと思っていましたが、や、やりおる…!

そこに現れた、バンパイアハンターのモーリス一行。師の後ろにいるのは2人の弟子、モーリスの息子ヒューと、今回の主人公ネイサンです。面白い展開になってきました…!

ドラキュラはモーリスのことを知っていて、「我を封印したバンパイアキラーの片割れだな」「…老いたな」と優しく解説してくれるところに品位の高さを感じます。さすが。
そして「ガキどもは要らぬわ!」とマントからコウモリを放ちました。

驚きの展開。思わず声が出ました。そこ崩れるんだ!?って思いました。
いきなりの師との別れ。不安です。というか、モーリス大丈夫でしょうか…。

ある程度の高さから落ちたのに「…どうやら怪我は無い様だ」のセリフにも驚きましたが、さらに「俺は親父を助けに行く」と行ってしまうヒュー。1人残されるネイサン。心細い。できれば行かないでほしかった。
打倒ドラキュラ、師の救出と城からの脱出を目指す旅のスタートです。

師匠を想う強い気持ちが虚しくこだまする…

 

攻撃方法はムチとサブウェポン。またスライディングでも敵を攻撃することができます。敵がアイテムや装備品を落とすこともあり、ステータス画面で使用、装備可能。横スクロールゲームにあまり触れたことのない私にはとても斬新に思えて、体力ゲージすら新鮮に感じました。

また“デュアルセットアップシステム(DSS)”という、魔法を発動できるような要素もあります。掛け合わせの効果はバリエーション豊富で、凍らせた敵を足場にしたり、歩くたびに経験値が増えるといった効果も。Yボタンでマップが開けるのもありがたく、道に迷った時や、次に向かう場所へのヒントにもなりそうです。

毒などのデバフもあり。ポイズンワームに苦戦中

ゲームオーバー画面ですら美しく、力尽きても嫌な気持ちになりません

「それでもやっぱり死にたくない」「怖いゲームが苦手」という方に向けて念押しを…。本作は“いつでもセーブ/ロード”が使えるのです。さらに言えば、巻き戻し機能もあります。これでもう何も怖くありませんね。胸を張ってドラキュラ討伐に出かけましょう。

 


 

作品紹介2:『キャッスルヴァニア 白夜の協奏曲』

シモン・ベルモンドの孫であるジュスト・ベルモンドの冒険を描く一作。サブウェポンと魔導書の組み合わせで発動する「スペルフュージョン」や「ボスラッシュモード」など、多くの新システムが登場した作品。

「協奏曲」と書いて「コンチェルト」と読むのがまたニクイポイントですね。好きです。
湖面に映る、反転したタイトルとひとひらの葉…。そこから空を見上げるとタイトルコールが始まります。素晴らしい演出です。

バンパイアハンターの一族の末裔である、主人公ジュスト。彼の目の前に、2年前に修行の旅に出た親友マクシームが傷だらけの姿で現れます。2人の幼友達であるリディーが連れ去られたと聞き、案内されてたどり着いたのは、幻想のように佇む城。リディーを救うため先に進むことにしましたが…。

突然、巨大兵器(?)に追いかけられる。開始早々こんな目に遭うなんて…ね

 

敵であふれる城内を進むジュスト。体が青く縁取られ、動きが残像として現れます。壁の燭台を壊すとアイテムが出てきたりするので、見かけるとつい壊したくなってしまいます。お金の袋はなぜかテンションが上がりますね。

サブウェポンもさまざま。攻撃範囲も変わるため、地形によって使い分けると心強い武器に

驚いたのは、こちらのお部屋。心臓の鼓動が鳴り響いていて少し怖かったのですが、なんとセーブポイントでした。摩訶不思議でかっこいい!

アクションも幅が広がっていて、遊びやすく感じました。城内も明るくて、ついマップを埋めたくなります。まだ行ったことのない部屋を目指して進むと、いろんなイベントが起きたりして。お城散策って考えると、より一層ワクワクしてきますね。

ジュストの前に現れた死神。城内ではいろんな出会いが待っています

 


 

作品紹介3:『キャッスルヴァニア 暁月の円舞曲』

ドラキュラ復活の輪廻に巻き込まれていく少年・来須蒼真。この少年は何者なのか、そして、無事に元の世界に戻ることができるのか。
モンスターのソウルを取り込んで自分の能力に変える“タクティカルソウル”という新システムを搭載。クリア後に解放されるモードなど、やりこみ要素が多い作品となっている。

「コンチェルト」の次は「メヌエット」。タイトルがまた素敵ですね。そして、日食を彷彿とさせるオープニングムービーが特徴的です。『悪魔城ドラキュラ』シリーズは、どの作品を見ても美的センスを感じます。

主人公は18歳の高校生、来須 蒼真(くるす そうま)。なんと2035年の日本を舞台にした物語です。幼馴染の白馬 弥那(はくば みな)と天体イベントを見るために神社へ向かっていた蒼真ですが…。

思いがけない急展開。2人はヨーロッパではなく、日食の中のドラキュラ城にとらわれてしまったようです。そして、謎の人物・有角 幻也(ありかど げんや)と共闘し、突如現れた敵の大軍を退けたことによって真の力に目覚めた蒼真。

赤いモンスターのソウルが体内に取り込まれました。この能力“タクティカルソウル”の謎を確かめるため、そして弥那を連れて現代へと帰るため、城主の間へと向かうことになります。というか初見でモンスターを倒せる高校生、すごいですね…!

登場人物が全員美形。人物の絵が大きく、高精細で嬉しいです

 

武器はソード。ムチじゃないんですね…!リーチの差は特に気にならない操作感。地形のせいか敵が多く感じますが、進めているうちに「たくさん倒せる!」という楽しさに変わります。

ゴロゴロ転がってくる敵も出現。横スクロールの世界観とマッチしていて楽しい

 

ボスと遭遇!攻撃力が高くて苦戦しましたが、パターンを見て自分流に攻略するのがまた醍醐味ですね。ハラハラしながらも、なんとか勝てたときの喜びはひとしおです。

サブウェポンには限りがあるので、温存したり一気に使ったり。工夫しながら戦ってみました

今回のセーブポイントもグラフィックが美しい。この部屋に入るとほっとします…!

 


 

作品紹介4:『悪魔城ドラキュラXX』

ドラキュラ伯爵の封印から数百年が経ち、平和に慣れ、堕落する人々。その一部の悪しき人間の心によって、再び魔王が復活した。ドラキュラ伯爵は、自身を封印した一族の末裔・リヒターへの復讐をもくろみ、恋人のアネットとその妹マリアをさらって悪魔城に閉じ込める。先祖伝来の聖なるムチを手に、リヒターは悪魔城へと向かった。
タイトル画面から少し待つと物語の概要が流れるのですが、その決めの演出で現れるのがこの『悪魔城ドラキュラXX』のロゴマーク。ダブルエックスを十字架ふたつで表現しているのがシビれます。

3作品の重厚なゴシックとは少し違った雰囲気で始まる本作。ギターリフから始まるBGM「乾坤の血族」がとにかくかっこよく、疾走感を掻き立てられます。冒頭からさまざまな種類の敵が登場するので、その動きに順応するのに少し慣れが必要ですが、目新しいものがステージにたくさん散らばっているようなワクワクを感じる作品です。

サブウェポンを取得すると発動できる“アイテムクラッシュ”。シリーズをプレイしているうちにサブウェポンのバリエーションがどんどん楽しみになっている私でしたが、この必殺技の演出がかっこよくて…!

「ウオオーーーッ!」という雄叫びとともに、オノが円状に放たれる広範囲攻撃。かっこいい〜!

登場するボスも、ホラーというよりはモンスターテイストなのが新鮮でした。ドット絵で描かれるグラフィックの細かさにはうっとりしてしまいますね…。これが動いているんだから驚きです。

強い、勝てない!でも見ていたい!のジレンマを生み出すグラフィック体験

 


 

これぞ眼福の極み
至極美麗なビジュアルアートが光る4作品

シリーズ4作品をアート寄りな視点でご紹介しましたが、いかがでしたでしょうか?
個人の感想になりますが、本作は「ゲーム性のみならずアート作品としても成立する」と言っても過言ではないと思いました。絵画作品も、グラフィカルなドットアートもこの1本で堪能できるので、芸術に飢えている方にぜひおすすめしたいです。


Castlevania Advance Collection
(キャッスルヴァニア アドバンスコレクション)

発売元:KONAMI
配信日:9月24日
価格:ダウンロード版 2200円(込)
ジャンル:アクション
CERO:12歳以上
プレイ人数:TVモード(1人) テーブルモード(1人) 携帯モード(1人)

Castlevania Advance Collection 公式サイト

©Konami Digital Entertainment

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