エレキコミック今立進の「ファミコン カセッ党」|第4回1986年【ファミコン40周年記念コラム】

Nintendo公式YouTubeチャンネル「ファミコントークショップ コバヤシ玩具店」にも出演中のエレキコミック、今立 進(いまだち すすむ)さんのファミコン連載コラム第4回(実質は5回目)。今回は1986年へワープ!
そもそもファミコンとは? という方はこちらへ。

▼初めての方は自己紹介を兼ねた第0回からご覧ください!

第4回 1986年、日本は「バブル景気」に。イマダチ家にもファミコンがやってきた!

どもっ、ゴールデンウィークにやる舞台に向けてイケメン役者に混じってダンスの稽古をするも、先生から「踊らなくていい」と言われ、角っこで1人体育座りをしながら共演者のダンスを眺めている齢四十八、イマダチです(w
舞台はコメディですし、おじさんも頑張って踊れるところは踊ったり、歌ったりしてますんで、お時間ある方はぜひ!(詳細は著者紹介欄で)
さて、オヤジの悲哀を見せたところで、今回は1986年(昭和61年)イマダチ(以下ダチ)が小5の時を振り返りたいと思います。

一般的に、この年の12月から日本は「バブル景気」と呼ばれる好景気に突入します。子供にとっては実感することはありませんでしたが、テレビや漫画そしてゲームなど、見るものすべてが面白かったのは今思えばバブルの恩恵といえなくもないですね。

毎日「井の頭線」で電車通学していた小5のダチが、毎週月曜に終点の吉祥寺駅で電車を待ち、駅員より先に網棚に捨てられてないかを見つけるまで物色していた「週刊少年ジャンプ」で、この時代を説明すると1986年1・2合併号から「聖闘士星矢」(車田正美)が連載開始され、「ドラゴンボール」(鳥山明)では、天下一武道会の決勝で「ジャッキー・チュン」(実は亀仙人なんだぜ!)と戦ってたり、「キン肉マン」ではキン肉星王位争奪戦でフェニックスチームと戦っているという、あの頃です(わかるか!)。

テレビで言えば、前年9月に16年続いたドリフターズの「8時だョ!全員集合」が終わり、加藤茶と志村けんの「加トちゃんケンちゃんごきげんテレビ」(通称カトケン)が始まったのが、この年。
この頃には大のお笑い好きになっていたダチはというと、「カトケン」には行かず、同時間帯(土曜20時〜)の「オレたちひょうきん族」を毎週楽しみに観ていました。

私の土曜の夜は「フジテレビ」固定で、18時半からアニメ「ゲゲゲの鬼太郎」(第3シリーズ)、19時からは阪神の掛布に似てる子役カケフくんが大人気だった「所さんのただものではない!」。19時半からはジャンプで連載中だったギャグ漫画「ハイスクール!奇面組」。そして20時からは「オレたちひょうきん族」というテレビにかぶりつきの2時間半を毎週送っていました。

ちなみにカケフくんはこの2年後に「カケフくんのジャンプ天国スピード地獄」(ビック東海)という、天国の部分があまりないジャンプもスピードも地獄のようなゲームをファミコンで出すんですから、当時の人気が伝わるかと思います。

編集部にあった「カケフくんのジャンプ天国スピード地獄」の説明書
当時のゲーム雑誌「ファミリーコンピュータ Magazine(ファミマガ)」の記事がこちら(1988年vol.9より)

ファミコン本体のみを楽しむ日々に終止符を打ったソフトは……

おいおい、イマダチ! またあんまゲームの話しねぇなー! と思っている読者の方々、私が何の考えもなく当時のテレビ話を書くと思いますか?
そうです、先程あげた番組で任天堂のCMがバンバン流れていたのです!
子供に人気の番組でファミコンやソフトのCMを流すという戦略にバッチリハマったダチは、番組本編よりゲームのCMを食い入るように観ていました。そんな姿を親が見てなのか、前回でもお伝えした通り、発売から3年目にして念願のファミコンが我が家にやってきます。

テストで3教科100点取ったからとか、こつこつお年玉を貯めたとか、1万円を10日で2億にしたとか、国と国の政治的問題を解決したとか、そういったファミコンを買ってもらうエピソードの1つもなく買ってもらいました(w
ありがとうmy parents!

ただ思い出したんですが、先に本体だけ買ってもらい、それから何週間かはソフトを持っていなかったように思います。
「同時に買えばいいのになぜ?」なんですが、その理由は思い出せず、本体を毎日箱から出しては触って、また袋に入れて箱に戻したり、説明書や同梱されていた「これがファミリーコンピュータだ!!」という、ファミコンの特徴や注意点をまとめたマンガを読んだりするだけ。そんなファミコン本体のみを楽しむ日々がありました。

そんな日々に終止符を打ったのが、パッケージとゲーム画面に一目惚れした『グーニーズ』(コナミ)でした。
ご存じの通り、アメリカの冒険映画である「グーニーズ」は前年の1985年12月に公開され大ヒット。しかし、当時「グーニーズ」にさして興味のなかった私は映画よりも先に『グーニーズ』というゲームの方に魅力を感じてしまいました。
映画も観ずにゲームの方の『グーニーズ』、言わば「ゲーニーズ」の方から入ってしまったのです。そんな裏口からの入店でしたが、このゲームがホント面白かった!

ファミマガ(1986年4月号)の『グーニーズ』の記事

ストーリーは囚われた仲間たちを助けながら財宝を見つけるというシンプルなものなので、小5のダチにもすんなりと入りやすく、操作性も良好で、各面に隠されているお助けアイテムやコナミマン太郎や福太郎、当初はスピ◯バーグ監督と呼んでいたが、どこからかコナミ監督になった隠れキャラクター探しも良かった。
BGMも秀逸で1面の曲はいつも口ずさんでいました。ずっとゲームの曲だと思っていましたが、後に映画を観て、あれがグーニーズの主題歌、シンディー・ローパーの「グーニーズはグッド・イナフ」だとダチが知るのは数年後の話……。

さて、このファミコン『グーニーズ』が発売されたのは2月21日なんですが、同日に発売されたのが、なんと「ファミリーコンピュータ ディスクシステム」でした。カセットよりも大容量、サウンドも強化、安価で書き換えもできるという凄い周辺機器ですが、本体を購入したばかりのダチにはまずファミコンだったので、ディスクシステムに目は向きませんでした、2月の時点では……。

「ファミリーコンピュータ ディスクシステム」任天堂のサイトより

『グーニーズ』という神ゲームを自分で選んだことで、ゲームの目利きに自信をつけたダチは、続いてゲームセンターで見てあまりのカッコ良さにシビれた『魔界村』(カプコン)が移植されることを「ファミマガ」で知ります。
電車通学の地の利を活かし、おもちゃ屋を回り、一番安い値段の荻窪の店で予約。発売日が近づくほどに開発中の画面を見てはワクワクしていましたが、アーケード版のめちゃくちゃカッコイイポスターと違い、子供っぽいパッケージイラストになっていたのには一抹の不安を感じるも、発売日に無事購入。
ホクホクでゲームを始めましたが、赤い悪魔(レッドアリーマー)に即絶望することになりました。それでも自身で選んだソフトだと頑張ってやりましたが、2面に行くのがやっとという状態。
ステージセレクトの裏技を使ってクリアし、『魔界村』は友達とのゲーム貸し借り専用ソフトとなりました(w

ファミマガ(1986年vol.7)の『魔界村』の記事。今立さんの思い出レッドアリーマーのシーンをどうぞ

信頼を勝ち得た「コナミ」の“あるソフト”に心が奪われる

続いて購入したのは『グーニーズ』で私の信頼を勝ち得た「コナミ」の『がんばれゴエモン!からくり道中』。これもジャケ買いに近いものでしたが「2メガビット」(当時は大容量。でも256キロバイト少ねぇーw)をうたうだけあって、グラフィックもキレイだし曲も良いし、キャラも豊富でしっかり楽しめました。

そして9月、いつものようにファミマガを読んでいると、ダチの目に飛び込んで来たのが『魔界村』を彷彿とさせるおどろおどろしい世界観とドラキュラという、小学生男子が大好きな要素がてんこ盛りの『悪魔城ドラキュラ』(以下ドラキュラ)の広告。
ムチを構えるシモンの背中、先にはドラキュラとその城……かっ、かっけー!!!
しかも発売元は安心安全信頼のブランド「コナミ」。こりゃやるしかねーぜ! と意気込むも、なんと『ドラキュラ』はディスクシステム専用ソフト。

ファミマガ(1986年vol.15)掲載の広告。購入していた「がんばれゴエモン!」も掲載されています

発売される9月までに、本体+カセット3本という爆買いをしているダチに「ディスクシステム本体」の15,000円+『ドラキュラ』のソフトを親にねだれる余力はない。
万事休す……いや待てよ、今は9月。9月27日はダチの誕生日。『ドラキュラ』の発売日は……9月26日!!!
なんという奇跡、誕生日の前日に発売だと!

これは交渉の大きな材料になる。早速、私はない頭を絞ったり、煮出したり、濾したりしながら、連日、誕生日をたてに親との交渉を重ねました。
その中でディスクシステムの書き換えサービスは、交渉の大きな武器となりました。
1本5,000円近くするカセットが、ディスクカード1枚(2〜3,000円)買うだけで、次からは500円とかで買えるんだから、「家計にも優しい」と熱弁する小5のバカダチ。

結果は“来年のお年玉なし”を条件にして、了承を獲得。年始の収入はなくなるが致し方ない。その条件を飲み、ダチは誕生日に「ディスクシステム」と『悪魔城ドラキュラ』を手に入れたのでした。
ゲーム内容は皆さんも知っての通り最高で、ディスクの「ガチャ、ココン」というロード音さえカッコイイと思っていました。

振り返ると、ファミコンを手に入れた1986年は本体、カセット3本、ディスクシステム本体、ディスクカード1枚という金持ちムーブをかましていました。
とくに裕福な家ではないのに、ここまで買ってもらえたのは、もしかしたらバブルのおかげだったのかもしれません。私もバブルを体験していたんだと、この連載で知ることができました。
この場を借りてありがとうタカシ&レイコ(両親)&日本経済

さて、この年は忘れちゃいけない『ドラゴンクエスト』も発売されていますが、アクションゲームに夢中のダチが『ドラクエ』をやるのは、少し先の話。そして、多くは語りませんが、この年、今でも私を魅了してやまない『トランスフォーマー コンボイの謎』『ミシシッピー殺人事件』『元祖西遊記スーパーモンキー大冒険』『シャーロック・ホームズ 伯爵令嬢誘拐事件』『時空の旅人』『たけしの挑戦状』などが発売されたことを付け加えておきます。

ファミコンとディスクシステムを手に入れ、本格的にファミコン道を歩み始めたダチ。
次回1987年は発売本数増加で名作、迷作、玉石混交! その中でダチはどんなゲームに出会うのか?
さて、どうなることやら、続きはBACK TO THE Next Year


今立 進(いまだち すすむ)
お笑いコンビ「エレキコミック」のツッコミ担当。
ワーキング・ステージ「ビジネスライクプレイ3」2024年5月3日(金・祝)~11日(土)東京都 新宿FACE ▶︎公式サイト
毎週土曜日25時、TBSラジオ「エレ片のケツビ!」、Nintendo公式YouTubeチャンネル「ファミコントークショップ コバヤシ玩具店」ほか、多数出演中。
ニンテンドードリーム本誌にて「イマダチススムのダウンロー堂」を連載中。▶︎ニンテンドードリーム刊行案内

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