エレキコミック今立進の「ファミコン カセッ党」|第5回1987年【ファミコン40周年記念コラム】

Nintendo公式YouTubeチャンネル「ファミコントークショップ コバヤシ玩具店」は大団円で終了しましたが、こちらのコラムはもう少しだけ続きます! というわけで、番組でそのファミコン知識をいかんなく発揮した、エレキコミック今立 進(いまだち すすむ)さんのファミコンの思い出、連載コラム第5回(実質は6回目)。今回は1987年へとワープ!
そもそもファミコンとは? という方はこちらへ。

▼初めての方は自己紹介を兼ねた第0回からご覧ください!

第5回 1987年。ファミコン人気爆発中。ディスクシステムの発売もあってソフト数も激増!

どもっ、ゴールデンウィークはイケメン役者に混じって、年甲斐もなく歌ったり踊ったりする舞台(前回参照)を疲労と戦いながらもなんとか乗り切り、一息ついたと思ったら、6月の舞台の稽古が始まったイマダチです。
賢明な読者ならお気づきかと思いますが、更新が回を重ねるごとに遅れているのは、稽古にかこつけてズルズルと……ってやつです。やはり人間、自分で決めた〆切りはなかなか守れない生きものなのですね(人による)。
で、次の舞台はなんと「ヤクザモノ」。これまたイケメン役者の方々に、おじさん枠の1人としてありがたくも混ぜていただいております。

今回はイマダチ(以下ダチ)が小6(12歳)の1987年(昭和62年)のお話です。
まだバリバリ昭和の不良やヤンキーブームで、「ビー・バップ・ハイスクール」の映画第3弾「高校与太郎行進曲」が配給収入10億を超える時代。ダチも流行ってたので観ていましたが、実際に短ラン(丈の短い学生服)やボンタン(太もも部分が大きく膨らみ裾が細いズボン)を履こうとは思いませんでした。
あのとき、勇気を出してボンタンを履いていたら、今回のヤクザ役もすんなりできたのでしょうか?
いやいや、そうしていたら芸人になってなかったかも知れないですし、人生に「たられば」はないですね(そう思いたい)。

さて、1987年がどんな年だったかといいますと、国鉄が民営化して「JR」になり、私が1番好きなビール「アサヒスーパードライ」が発売され、光GENJIが「STAR LIGHT」でデビューし、とんねるずが「ねるとん紅鯨団」で、俵万智がヒットしたから「サラダ記念日」な年でした。

バブル真っ只中ということもあり、景気も良かったのでしょう。ファミコン人気も変わらず爆発中で、ソフトの発売本数も前年のディスクシステムの発売もあいまって激増! 本数が多くなれば、それだけ「アレ」なソフトも増えるわけで、世の子どもたちは「悲劇」をつかまないよう、ファミコン情報誌を熟読していました。
しかし、雑誌の方もこの頃には老舗の「ファミマガ」はもとより、「ファミコン通信」(現ファミ通)や「マル勝ファミコン」「ファミコン必勝本」「ハイスコア」などなど、書店で雑誌選びもしなければならない事態に。私は焦らず騒がす信頼の「ファミマガ派」だったので、そこから情報を得ていました。

『リンクの冒険』がやりたい。でも手元にディスクカードは1枚のみ……

前年に念願のファミコン本体のみならずディスクシステムまで手に入れ、盆と正月と夏休みと誕生日と金婚式と株式上場が一気に来たような人生最大の幸せを感じていたこのときのダチ。

ディスクシステムの導入により、500円でディスクカードにゲームを書き換えられるようになったので、遊べるタイトルも増えていきました。
任天堂もディスクシステムに力を入れていて、テレビCMはディスクソフト一色。所ジョージ&間下このみコンビが出演し、所さんの歌う「やれば、やるほど〜ディスクシステム〜、ピローン!(『スーパーマリオ』のコイン音)」は、今だにトイレ掃除をしながら、ふと口ずさんでしまいます(なぜトイレ?)。

「ファミリーコンピュータ ディスクシステム」
ディスクカードは、玩具店やファミコンショップなど「ディスクライター(書換機)」設置店に持っていくと、500円(一部のソフトを除く)で別のソフトに書き換えることができました。任天堂のサイトより
ディスクライター


そんな年始にCMを見て驚愕したのが『リンクの冒険』(任天堂)。
前年の1986年2月21日に、ディスクシステム本体と同時発売された『ゼルダの伝説』の続編が早くも発売されるというのです!
しかも前作の見下ろし視点から、今回はキャラもデカくなり、横スクロールのアクションRPGにーーー!!!
下突きめちゃカッケェー、欲しい、やりたーい!


しかし、ここで問題なのがディスクカードの枚数……書き換えるには当然元のカードが必要なんですが、それがダチには昨年買った『悪魔城ドラキュラ』1枚しかありません。

つまり『リンクの冒険』に書き換えてしまうと、ゲーム内だけでなくダチ家から『ドラキュラ』を永遠に葬りさることになるのです。
『ドラキュラ』はおもしろい、でも難しい。このときまだクリアできなかったダチは考えました。
ドラキュラ退治はしたいけど、その前の死神が強いので、もう諦めよう……。ダチの「トランシルバニア」(『ドラキュラ』の舞台)は更地に戻し、「ハイラル」(『ゼルダ』の舞台)に書き換えようと。

結果、都合の良い理由をつけ『リンクの冒険』に書き換えを決意したダチは日曜の朝、当時住んでいた世田谷代田からチャリで下北沢にあるおもちゃ屋に向かいました。
モジモジしながら『リンクの冒険』への書き換えをおじさんに頼むと、黄色いデカいソフト(今思えばNESのカートリッジくらい)をディスクライターに挿入。そして私の『悪魔城ドラキュラ』のディスクをその横にイン。画面にはディスクのチェック中の文字、その後現れたのは今だに名前も知らないツルッパゲでへの字眉の子供。その『スーパーチャイニーズ』(1986発売ナムコット)っぽい子供が自転車の空気ポンプっぽいもので空気を入れはじめると、ペタンコだった色違いの子供に空気が注入されて膨らんでいく演出が展開、このときのBGMとかも良いのでどうにかして見てください(雑)。

膨らむ子供を見ながら『悪魔城ドラキュラ』を思い出すダチ。カラスに体当たりされて穴に落ちるシモン(主人公)、突然飛び出してきた半魚人に当たって水中に落ちるシモン、ガイコツの投げる骨を避けられず体力が0になるシモン、死神の鎌に当たり続けるシモン……思い出、死ぬシーンしか出てこねー!

そうこうしてると書き込み完了、説明書代100円を入れて600円で見事シモンからリンクに転生を果たしたのでした。
まあ『リンクの冒険』も『ドラキュラ』に負けず劣らずの難易度でしたが(ノックバック※あるしw)、こちらもめちゃおもしろくて、なんとかクリアしました。現在でもNintendo Switch Onlineで遊べるのでオススメです。

※攻撃を受けたときにのけぞり状態になる動作。その間は行動不能に

▼「リンクが16歳のとぉおおき」と口ずさみたくなる『リンクの冒険』

次々とソフトを書き換えていくイマダチ少年

さて、これで味をしめたダチは当然ディスクの枚数を増やしたいと考えます。ディスクカードはファミコンカセットより安価なのでまだ買いやすく、2枚持っていればうまいこと自転車操業できるじゃないですか(良い意味で)。

そこに、登場したのが『キン肉マン キン肉星王位争奪戦』(バンダイ)。こちらは友情パワーを謳いながら「ブロッケンJr.」の使用で、全国の友達との友情にヒビを入れさせたでお馴染みのファミコンソフト『キン肉マン マッスルタッグマッチ』に続く「キン肉マン」のゲーム化第2弾。グラフィックは大幅に進化し、当時から「キン肉マン」大好きっ子なダチが飛びつくのも頷ける出来栄え。技やキャラの再現度も素晴らしく早速購入!

『キン肉マン キン肉星王位争奪戦』(1987.5.1発売)は「ニンテンドークラシックミニ ファミリーコンピュータ 週刊少年ジャンプ創刊50周年バージョン」にも収録。公式サイトの映像をご覧ください

しかし、必殺技が出ない……必殺技は敵と組み合って相手を頭上に放り投げ↓↑でハイジャンプをし、敵と重なるときにBボタンを押す。すると、各キャラの必殺技が炸裂するらしいのですが、小6のダチはコツがつかめずできませんでした。
最初のマリポーサチームの副将「キング・ザ・100t」が倒せず絶望していると、この最強の敵、100tが使用できる裏技があるとの情報を知ります(初回生産版のディスクのみ)。これで何とか! と思いましたが、最後までクリアできるわけではなく断念。
今回調べていて知りましたが、なんとこのゲーム、プロレスゲームの雄、あの「ヒューマン」が開発したソフト。パンチやキックのゴリ押しだけでクリアできないように、いろいろな工夫でつくられていたゲームだったことを知りました。

そしてこのあと、『キン肉マン』は『エスパードリーム』→『愛戦士ニコル』→『ドラキュラII 呪いの封印』とコナミ3連発に書き換えられますが、『王位争奪戦』のディスクは大人になって買い直したので、いつかリベンジしたいと思います。『ドラキュラII』に関しても書きたいことはありますが、とりあえずドラキュラには「にんにく」置いとけ! とだけ皆様に伝えておきます。

ディスクシステムだけでなく、ファミコンでも忘れちゃいけないのが、この年の1月にはパーティが3人になり、前作より大幅にパワーアップした『ドラゴンクエストII 悪霊の神々』、12月にはオープニングがここで来るのか! と感動した『ファイナルファンタジー』という日本を代表する2大RPGが発売
ダチは、この年、少し遅れて初代『ドラクエ』をクリア。そのあまりのおもしろさと音楽の良さにラスボスの「竜王戦〜エンディング」までの音楽をテレビの前にラジカセを置き録音。親の乱入や、さおだけ屋のアナウンスなどの妨害を乗り越えというか、何度も録り直し、キレイに録れた(ホワイトノイズすごいけど)テープを何度も聞いたものでした。

ほかにも「ナ◯コさんが出さないならウチが出しますよー」といったかどうかはわかりませんが、『月風魔伝』(コナミ)も買いましたね。パッケージには見る角度によって絵柄が変わるものが貼られていたんですが、あれが「レンチキュラー印刷」ということを「コバヤシ玩具店」で初めて知りました(w


とにかくこの年も名作が多く、それを追うだけでも1年があっという間に過ぎていきました。さて、そんなダチも次回は中学生!
学校はエスカレーターなんで場所も大して変わらないけど、小遣いも上がり、部活帰りに、不良のエンカウントに怯えながらゲーセンに通ったりするようになります。
この連載についても、ファミコン40周年が終わる7月辺りが最終回かなと勝手に思っていて、でもそうなるとこのままでは間に合わないので、次回は1988年〜行けるとこまで(w

ダチは社会現象となった『ドラクエIII』を買えるのか?
ゲームボーイ発売、携帯ゲーム機の衝撃、カプコンアクションに心酔、部活とゲームの両立(勉学は?)などなど、ダチの中学時代はさて、どうなることやら、続きはBACK TO THE Next Year


今立 進(いまだち すすむ)
お笑いコンビ「エレキコミック」のツッコミ担当。
舞台『愚れノ群れ』2024年6月5日(水)~6月12日(水)シアターサンモール ▶︎公式サイト
毎週土曜日25時、TBSラジオ「エレ片のケツビ!」ほか、多数出演中。
ニンテンドードリーム本誌にて「イマダチススムのダウンロー堂」を連載中。▶︎ニンテンドードリーム刊行案内

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