『ファイアーエムブレム エンゲージ』インタビュー:大きな変化から細かい部分まで、注目ポイントを尋ねる
憩いと休息の地、拠点ソラネル
施設や会話についてなどを聞きました!
Q ソラネルの施設づくりについて教えてください!
鄭 キャラクターにとっては憩いの場所なので、プレイヤーの皆さんにも息抜きしてもらえればという方針で、いろいろな遊びを入れました。
中西 紋章士のスキル継承とか、そういった仕組みは必要なので組み込んでほしいものでしたが、それ以外のアクティビティはイズさんが作りたいものを比較的自由に作っていただくスタンスで進めていました。ただし、遊んだ結果強力なアイテムがもらえるといった、それをやらないとダメみたいなものはあえて避ける方向にしてもらっています。
横田 拠点の遊びも大事だと思ったんですけど、そこが重要になるとしんどい人もいると思うので、強制はしたくなかったんです。釣りとか筋肉体操とかドラゴンシューターとか、やってもいいしやらなくてもいい、やるとちょっとお得、くらいのバランスに仕上げてもらっています。
―― ちなみに「占い」にはどんな意味があるのでしょうか?
石井 完全な遊びとして入っていて、何かの効果があるとかではないです。クスッと笑ってもらったり、キャラクターへの想像をふくらませたりと、 好きな方が好きなように楽しんでいただければと思っています。マップで頭を使うぶん、何も考えずに楽しんでもらえるような要素があってもいいかな、というところですね。
中西 実際、占い小屋に大きな効果があったら、マップクリアごとに夜にして見に行く必要が出てくるので、報酬はなくてよかったかなと思っています。
Q 守り神ソラは、今作のマスコット的な存在として作られたのでしょうか?
鄭 マスコット的な存在という点では、過去作にも『if』のリリスや『ヒーローズ』のフェーがいたりするので初めての取り組みではないのですが、今作も拠点があるので、そこに何か置きたいと考えたのが始まりでした。しかも、せっかくソラネルという不思議な土地を舞台に設定しているので、守り神みたいなものを作れないかなということで生まれたキャラクターになります。ソラネルをずっと守っていた存在で、絆のかけらも、実はソラが生み出している設定です。
―― それも、お尻から…(笑)。守り神というだけでなく、主人公の後ろをついてくるのもすごくかわいいですね。
鄭 これはもう拠点プログラマーとモーション班ががんばってくれたからですね。
石井 放置していると寝っ転がる動きは、いつの間にか実装されていてびっくりしました(笑) 。
鄭 愛着を持ってほしい、という意図を理解して作ってくれました。それに、ミニゲームに連れていくと少し得をするという要素もあったりします。頭をなでたり餌をあげたりできるのも、触れたい人が触れ合ってくれたら、と思って入れています。気に入ってくれた人が愛でてくれたらいいなというキャラクターですが、人気が出てくれてたらうれしいですね。
Q 支援会話について、工夫した点などを教えてください。
鄭 今回は3Dモデルを使っているので、演出やカメラワークなどでやれることが増えました。演技の幅が広がったので、キャラクター性や動きなどを楽しめるようにすることを、いつも以上に意識しています。表情や目の表現まで、細かいニュアンスもフルに入れられるのを念頭に、いろんなイベントをシナリオスタッフに考えてもらいました。
寺岡 モードによっては死んでしまうとキャラクターがいなくなってしまうので、ストーリーはどうしてもそこに影響のないキャラクターがメインになってしまいます。支援会話ではそこをカバーして、キャラクターを深掘りしたり、魅力を語る機会として機能するように心がけました。
鄭 ストーリーだけでは気付かないキャラクターの内面も、支援値を上げれば見られるという作りですね。声優さんの演技も、けっこう挑戦的なことをしていただいてます。キャラクターによって、けっこう無茶振りをお願いしたんです(笑)。ユナカは物まねをたくさんしてもらったり、ミスティラは歌をたくさん歌ってもらったり。かなり熱を入れて作った部分で、がんばって収録していただきました。
中西 紋章士との絆会話もおもしろいものがありますね。個人的にはアンナと紋章士たちの会話がすごく好きです。他シリーズに登場するアンナの話が出てくるので、けっこうニヤリとする要素だなと。
鄭 絆会話は「すべてのキャラクターと紋章士の組み合わせ分用意する」というのが大きなテーマでした。支援会話も、全通りではないですがかなり多めに作っています。それぞれ違うキャラクターをたくさん楽しめるものにしたいと思ったので、数多く用意するという方針でした。
中西 キャラクターへの愛着でいえば、「仲間手帖」も好きですね。支援会話を進めると情報が増えて、添えられた絵もキャラクターの性格が表現されていてすごくいいなと思いました。
石井 あの絵も全部3Dモデルで作られていて、各キャラ4枚ずつ、全てオリジナルのポーズになっています。
鄭 そこでしか見られないプロフィールも、ユーザーさんにとってはキャラクターへの愛着に直結すると思っています。身長や指輪の号数とか(笑)。今作のキーワードが「エンゲージ」なので、それと関連したものにしました。
石井 きょうはこれも持ってきていまして(指輪の号数を確認できるリングゲージを出しながら)。実際のサイズ感を確認しながら、このキャラクターはこの号数にして、この体型のキャラクターはこれくらいかな…と考えたりしていましたね。
鄭 実はアルフレッドって意外と手が小さいんだなとか、そういったキャラを身近に想像できる情報が読み取れるものになっています。
石井 性能だけではなく、支援会話を読んだりすることによって推しキャラクターもできると思います。ニンドリさんで人気投票をされていましたが、われわれもその結果が楽しみです。『エンゲージ』のキャラクターたちを、長く愛し続けてもらえたらと思います。
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Q マイルームのお目覚め会話は、種類の多さに驚きました!
―― 途中でキャンセルした場合のパターンもあって…。
鄭 支援レベルの段階ごとにそれぞれ2パターンと、途中で起きたパターン1つずつ、すべてフルボイスで用意しています。
石井 ライターにはすごくがんばってもらいました。支援レベルが上がることで、さらに違うパターンのイベントが起きる仕組みになっています。支援会話を進めた結果、ちゃんと濃密なイベントが起こるようになっているところがいいなと思っています。
―― 攻めた企画かなと思うので、内部で議論を交わしたのではと想像しました。…デジャブ感というか(笑)。
横田 『if』の“照れ顔”※ですね。確かに、ああいうものを思い出しながら「どうする?」みたいな話をしました(笑)。
※『FE if』には仲間キャラクターの頭をタッチペンでなでることができる要素がある。Live2Dの技術が導入され、頭をなでることでキラキラの背景に照れ顔のキャラクターが見られた
鄭 仲間キャラへの愛着を増していただけるのではないかと思い導入した試みなのですが、技術面での試みもありまして、お目覚め会話のヘルプでは「ヘッドフォンをつけてください」と表示されます。ここの音声は、「バイノーラル録音 」という臨場感を得られる収録方法を取っていて、ヘッドフォンを着けるとまさに耳元で囁かれているような感覚で聴けますので、ぜひヘッドフォンを着けてお聴きになってみてください。
Q 指輪磨きでは紋章士がくすぐったがりますが、感覚はあるのでしょうか?
鄭 紋章士には実体がなく直に触れることはできませんが、紋章士の指輪はただの装備品ではくて、「コミュニケーションがとれるキャラクターが宿っているんだ」ということを実感できるモードが欲しいなと思ったんです。その結果、指輪磨きに落ち着きました。
磨くことで「きれいにしてくれてありがとう」というようなコミュニケーションをとりつつ、アクセサリーを手入れする感覚で意思疎通できる神具、というイメージです。
Q 動物を保護できるシステムはどんな経緯で生まれたのでしょうか?
鄭 モデルスタッフから、世界観にリアリティを与えるために 動物を何体か作りたいという要望がありまして。犬や猫、羊や鶏など、生活に密接した家畜が存在しているだろうと、マップ上にたくさん作ってくれたんです。
それで、せっかく動物がいるのなら、拠点にも連れていって飼育できたら楽しいのでは? と派生して、ソラネルで飼育できることになりました。
石井 今回「散策」があるので、保護して連れてくる形にしようと。ソラネルと絡めて、膨らませていく形で取り込んでいきました。
Q 料理はどのように考えていったのでしょうか?
鄭 4つの国はそれぞれ特色も気候もバラバラで、現実世界の国のようなものをイメージしやすかったんです。それで料理に関しても、世界各国の料理を引っ張ってきて、ラインナップを作りました。
メジャーな料理だけだとありふれたものになってしまいますので、あまりなじみのなさそうなものも入れてもらっています。