『ファイアーエムブレム エンゲージ』インタビュー:大きな変化から細かい部分まで、注目ポイントを尋ねる
広がる『エンゲージ』と「ファイアーエムブレム」
バトル関係の話から、シリーズの総括まで、もう少しだけ続きます!
Q 今までありそうでなかった「体術」や、戦闘モーションについてきかせてください!
中西 回復役の「モンク」が使う体術ですね。『風花雪月』にも「格闘」がありましたが、あれは籠手だったので、本当の意味での格闘は今作が初めてになります。
横田 魔法ユニットなどにブレイクを入れられる気持ちよさ、という役割もありますが、モーションにも寺岡さんのただならぬこだわりがありまして。かなり早い段階から「格闘」の採用が決まりました。
―― そうなんですか(笑)。
寺岡 個人的に格闘アクションが好きなのは確かですが(笑)。
鄭 『エンゲージ』として出発する前の試作段階で、回し蹴りなどを作っていたのを見せてもらったんです。そのときに、間違いなくいいものになると思いました。
―― では格闘が先に決まって、それに伴って他の戦闘モーションもどんどん充実させていったのでしょうか?
中西 いえ、格闘以外にも定番のものは先に作っていたんです。剣・槍・斧で戦うのはもちろん、剣で矢を払うだとかの特殊なものまで、さまざまなモーションを寺岡さんたちに作っていただいて。戦っている動きを見るだけでも楽しいものができていましたので、どんどんやりましょうということになりました。
寺岡 キャラクターデザインができあがる前からバトルシーンの開発は動いてましたので、かなり早い段階からバトル演出の基本設計は完成していました。しかも先ほどお話があったとおり、個人的に格闘アクションにはこだわりが強いので、ついに『FE』で格闘をやれる日がきたなという感慨はあります。
エンゲージしたときはさらにアクロバティックな動きに変化しますし、リュールの体術は他のキャラクターとは違うモーションになっていますので、ぜひ見てみてほしいですね。
鄭 とばさずに見たくなる戦闘演出というのはずっと目標にしていて、特に『Echoes もうひとりの英雄王』の頃から、マップ遊びのテンポ感を損なわずに 迫力があって印象に残るモーションを取り入れていこうといろいろ試みてきました。
中西 『Echoes もうひとりの英雄王』では、動いてから攻撃する中で階段にちゃんと足が接地したり、砦の上から攻撃したり、細かい部分をいろいろ作りこんでいたんです。今回はそれをさらに進化させています。
[ネタバレ注意] Q リュールの変化後に使える、あの技についてお話を聞きたいです!
鄭 主人公は剣が多いですし、リュールは竜には変身しないので、何か特徴的な能力を持たせたいというのがありました。普通の体術ではなく、神様のような力をリュールが使えたらいいなと。体術を極めた神竜族が放つことのできる気功破のようなものという設定です。ルミエルが序盤で放っていたビームも同様のものとなります。
―― 見た目も派手ですし、「エンゲージビーム」って掛け声も印象的で。
石井 拠点で遊べる「ドラゴンシューター」も、実は伏線だったりして…。
鄭 「ドラゴンシューター」は主人公が神竜ノ王にクラスチェンジしないとできないんです。あれはリュールが上級職になったから、ビームが撃てるようになったという。
―― ちゃんと練習していたと(笑)。
Q スキル継承やクラスチェンジなど、キャラクター育成にも紋章士が深く関わっている点について教えてください!
石井 もともとスキルはこんなにたくさんは無かったんです。「絆レベル」も当初は確か5〜6段階くらいで、スキルも種類が増えるのではなく強化されていくだけでした。
でもプレイすると嬉しいことが起きる、どんどん強くなっていっている、ということを味わってもらいたくて、レベルアップの段階を増やしていきました。それもただ数値が上がっていくだけでは印象が弱いので、スキルの種類自体も増えていってほしい …と考え、あんなにも増えてしまったんです(笑)。
―― そうだったんですね!
石井 で、せっかくスキルがいっぱいあるので、いろいろな紋章士のスキルを継承して組み合わせることでさらに戦術が広がるというシステムにしました。
中西 紋章士を付けて終わりじゃなくて、「紋章士との関係性が変わっていく何か」を入れたかったんです。成長・変化するとか、これもまた付け替えを試したくなるような。そんな中で、スキルを覚えていくという提案をしていただけて、それがうまく噛み合いました。
そのうえ、紋章士から武器の素質を受け継いで、クラスチェンジできる幅が変わるということにつながったのはおもしろかったですね。
石井 世界観ともマッチするよう、「紋章士から受け継ぐ」形で入れています。紋章士に教えてもらって使えるようになった、というところが表現できたと思います。
鄭 しかも今回は通信対戦があります。いろんな方向で対戦を楽しめるよう、スキルの組み合わせを大量に用意してもらったという意図もありますね。
中西 なのでスキルは数が多いだけではなく、かなり細かくバランス調整を行っています。これとこれを組み合わせると強すぎるのではないか、とか。
最終的には対人ゲームでのスキルなどのバランス調整に長けている、トレーディングカードゲームの「FE サイファ※」を作っていたスタッフたちにも入ってもらって組み合わせの確認や調整を行っています。固定の強い組み合わせができないように、強いスキルに対しては対策をできるようなスキルを入れるというようなことも実はしています。
※トレーディングカードゲーム「ファイアーエムブレム0(サイファ)」=「ファイアーエムブレム」シリーズを題材とした対戦カードゲーム(2015年4月スタート、2022年3月末サポート終了)
―― シナリオクリアだけでなく、本格的な対人用の調整までされたんですね! そういったクリア後のやり込みについても、最初から考慮していたんですか?
中西 通信対戦は入れてほしいです、という話は当初からしていましたね。紋章士によって個性がついたところで、キャラクターが活躍する場面がストーリーしかなかったらもったいないのではと考えたんです。
鄭 本作のストーリーは基本的に一本道になりますが、キャラクターにはいろんな能力があるので、やり込み要素を強くしたいという思いがありました。ストーリーをクリアしても他の組み合わせを試せる場を設けたり。
中西 協力プレイや通信対戦では、自分たちが気付かなかった強い組み合わせが見つかったりもします。実際にいろんなお客さんが「この組み合わせが強い」と試したり、紹介したりしてくださっているので、そうして遊びが広がっていくのを私たちも楽しみながら見ています。
樋口 クリア後のセーブデータは残しておいてやり込みを楽しめますし、それとは別に最初から遊んで、違うキャラでストーリーを進めていく遊び方もできます。いろんなキャラクターや組み合わせを試して遊んでもらえるとうれしいなと思います。
Q これからの「ファイアーエムブレム」の展開やシリーズへの思いを聞かせてください。
横田 『エンゲージ』では『エキスパンション・パス』第4弾「邪竜の章」が配信になり、追加コンテンツが全て配信されました。新しい登場人物と協力してストーリーを進めていくもので、マップギミックも手ごわいものになっています。
樋口 3月末には『テトリス® 99』とのコラボイベント※もありましたが、ほかにも「最強ジャンプ/少年ジャンプ+」で漫画も展開いただいてます。ゲームだけではないコンテンツを広げていきたいと考えていますし、漫画を読んで「こんな世界なんだ」というふうに、ゲーム以外のところでも楽しんでいただければと思っています。
※テト1カップ「ファイアーエムブレム エンゲージ コラボ祭!」。おなじみのBGMで楽しめた
横田 それから、紋章士をきっかけに、前作『風花雪月』はもちろん、「Nintendo Switch Online」のサービスで過去作も遊んでもらえたらと思いますね。
『FE』シリーズは今年で33年目になって、イズさんとFEの新しい遊びはずっと考えてきたので、引き続き楽しみにしていただければと思います。
樋口 そうですね。シリーズは30年を超え、これからも35年40年、それ以上続けていけたらなと思います。ロールプレイングシミュレーションというベースは守りつつ、さまざまなエムブレムの世界をどんどんお見せしたいと考えていますので、これからも注目してもらえたら嬉しいです。
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