『星のカービィ Wii デラックス』Return to Dream インタビュー【後編】
11年の時を経て、『星のカービィ Wii』がパワーアップして帰ってきた!
ということで! 前編に続いて、ハル研究所と任天堂の開発スタッフ計5名に登場していただき、本作に込めた思いをたっぷり語っていただきました。(ニンドリ2023年6月号掲載)
サブゲームとクリア後に遊べるマホロアエピローグの開発秘話
インタビューに入る前に『星のカービィ Wii デラックス』に登場するサブゲームをおさらいします。
本作のサブゲームは、完全新作2つと歴代シリーズからリメイクされた8つ、合計10種類のサブゲームを4人で楽しめます。さらにインターネットに接続すれば、99人のライバルたちの記録と競う「刹那の見斬り 百」も楽しめます(記録を付けられるのは1日1回)。
▼みつけて!マホロア図書館
▼ガンガンブラスターズ
▼一撃!手裏剣道場
▼たまごきゃっちゃ
▼刹那の見斬り
▼おちおちファイト
▼爆裂ボンバーラリー
▼ギガトンパンチ
▼スマッシュライド
▼タッチ!早撃ちカービィ
▼刹那の見斬り 百
ルールは「刹那の見斬り」と同じ。世界中のプレイヤー99人の直近の記録と勝負。自分を含めた100人のカービィの中から、1位を目指して…いざ参る!
それでは、濃厚な開発者インタビューをじっくりお楽しみくださいね♪
登壇者プロフィール
新旧10種類のサブゲームをデラックスにした思い
デラックスに作ったサブゲーム
—— サブゲームの開発についてうかがっていきたいと思います。
中西 『星のカービィ Wii』をデラックスにする上で、なにをすべきかを考えたときに、やっぱり「みんなでわいわい楽しめる」という部分をより強化したいという話があがりました。そこでサブゲームを増やし、それらをより豪華に、多人数で楽しく遊べるようにしたいというところから出てきたアイデアが「わいわいマホロアランド」です。サブゲームも幅広い世代に遊んでほしいという思いから、歴代シリーズの中から、人気が高かったサブゲームを採用し、4人で遊べるようにしました。
熊崎 遊びの多様性を意識しながら、歴代シリーズ作からひとつずつ選んでいきました。さまざまなサブゲームがありますが、遊びの体験としては被らないものを選びました。工数によりすべて入らないこともあるのですが、企画書に書いてあった最初のチョイス通り見事に全部入れられました(笑)。
一同 (笑)
熊崎 「デラックス」にするのならば10個ぐらいは欲しいですし、新しいサブゲームも入れたいなと思ったんです。その上でどれを遊んでも手触りが違うゲームを、全部4人で遊べるようにしました。私はニンテンドーDSの『星のカービィ ウルトラスーパーデラックス』で、いちディレクターとして1人ですべてのサブゲームを担当したことがあったのですが…2画面やタッチ操作への対応も大変だった思い出があります(笑)。
—— 当時のWiiリモコンやタッチ操作だったサブゲームとかも含め、すべてボタン操作に置き換えないといけませんよね。
熊崎 今回はJoy-Conの多様な操作を、すべてサブゲームで活かしています。Wiiにあったポインティング操作でもそのまま遊べるようにしたり、チューニングも含めて手前味噌ながら頑張りました。
—— では10種類あるサブゲームから、みなさんの思い入れの強いものについてお話をうかがいたいと思います。
谷藤 私は「たまごきゃっちゃ」ですね。『カービィ』シリーズで一番最初のサブゲームです。オリジナルは相当難しかったのですが、間口を広くして遊んでほしかったので、悩んだんですけど…スピードを遅くしてやさしくしました。それで、レベルが上がっていくにつれてオリジナルと同じくらい難しくなっていくように調整しました。
—— オリジナルではデデデ大王がたまごをカービィに向けて投げてきますが、今作ではデデデ大王も仲間にいますよね。そこの問題はどう対処しようとしたんですか?
谷藤 デデデ大王もプレイヤーキャラクターになる今作ではどうしようと考えて、その役はロボットにさせることにしました。Wii版にあったサブゲーム「ガンガンバスターズ」で登場したデデデロボの要素もここで回収できたかなと思います(笑)。
—— 原作だとカービィが口にくわえてたまごをキャッチしていましたけど、メタナイトは仮面を被っていますしバンダナワドルディも口がありません。この問題はどう対処したのでしょうか?
谷藤 いろいろ考えて…籠かなと(笑)。あと、デデデ大王は頭身が大きくほかのキャラクターとキャッチする位置が変わってしまうので、そこは台に乗せて高さを統一しました。
渡辺 私は新作の「みつけて!マホロア図書館」ですね。マホロアのテーマパークなので、新作サブゲームにはマホロアが活躍するようなものを作ろうとしました。マホロアが思い描いた「まどう書」と同じものを見つけるというシンプルなルールですから、それだけだと単純すぎて飽きてしまいます。
遊びの変化や駆け引きの変化を出すために、マホロアが提示する「まどう書」を裏返しにして色だけが先に分かるなど、時間差でヒントが提示されるようにしています。遊びを優先しつつ、 「提示したんだケド、うっかり裏返っちゃッタヨ!」みたいな、マホロアらしいところもゲームデザインに落とし込みました。
—— マホロアってなんでもできるすごくいいキャラクターですね(笑)。
熊崎 カービィシリーズでめずらしく、ほかのキャラクターではできないことでもやってもらえるような役割のキャラクターに育ったかなと思っています。
中西 私は「おちおちファイト」と「スマッシュライド」が好きですね。どちらもなかなか思い通りに操作するのが難しいゲームですが、その分みんなで遊ぶとハチャメチャになって盛り上がるので、この2つがリメイクされてすごくうれしかったです(笑)。みんなでわいわい楽しんでもらえたらなと思ってます。
二宮 私からは「刹那の見斬り」のお話を。オリジナルから好きだったサブゲームです。もともとが1対1の真剣勝負を1ボタンで遊ぶ内容だったので、4人でやった時にどうなるのかなと思ったんですが、1位になった時の爽快感が格段に上がったと思います。それはオンラインで遊ぶ「刹那の見斬り 百」にも活かされています。モーション操作にも対応していますので、完全に侍になりきって遊べますよ(笑)。
—— 「刹那の見斬り 百」は1日1回だけ遊べるオンライン対応ゲームですよね。このお話も聞かせてください。
熊崎 オンラインで遊ぶゲームって、ロビーに集まって友達とチャットしながら遊んだりできてすごく楽しいですよね。ただ、『スーパーカービィハンターズ』とか『カービィのグルメフェス』でも、オンラインで遊ぶこと自体は『カービィ』シリーズもチャレンジはしているんですが、待ち合うロビーもなくもっとゆるく繋がってパッと遊べるような、オンラインを怖がらず遊べるゲームはないかと思って考えたんです。
—— そこで「刹那の見斬り」をチョイスされたんですね。
熊崎 もともとボタンを1回押すだけで勝敗がつくシンプルなゲームですが、単純にそれをオンラインに対応させるだけでなく、「100人のバトルロイヤルができたらすごいんじゃないか?」と考え、「刹那の見斬り 百」を作りました。
渡辺 「世界一サクッと遊べるオンライン対戦」を目指しました。遊び自体はすごくシンプルで、ボタンを1回押すだけなので誰でも気軽にすぐできます。ゲームはあっという間に終わっちゃうんですけど、演出は結構こだわって作りました。1位になった時も特別な演出が見られるので、ぜひ毎日チャレンジしていただければと思っています。