今だから話せる!『モンスターハンターライズ』1周年総振り返りインタビュー
配信・コラボ続々!進化は留まることを知らない
発売後も継続的に配信されたクエストは50個以上。
続々追加されたジェスチャーやスタンプ、各種コラボへの疑問から、今作の進化を紐解きます。
50個を超える配信クエストの作り方
—— 配信クエストが50個を超えましたが、どのようにアイデア出しをされているのでしょうか?
一瀬 プロデューサーから「このくらいの期間配信できる追加クエストが欲しい」みたいなプロモーションプランがおりてくるので、そこから逆算して個数を出しています。で、そこにタイトルアップデート、モンスターのランク、各種コラボを含めてバリエーションやモンスターの並びを決めています。
—— チームでアイデアを出しているのでしょうか?
一瀬 昔は僕が考えていたんですが、今回は担当スタッフに出してもらってます。大元の「この時期にこういった素材の排出はしたい」という方針は僕のほうで決めるんですけど、それに基づいたクエストを考えてもらっている感じです。
—— 配信クエストはどのような位置づけなのでしょうか?
一瀬 当然ファンサービスの意味もありますが、『MHR』を長く遊んでいただきたいっていうところが一番です。本編ではなかったモンスターの組み合わせなど、プレイヤーの腕にあったクエストにチャレンジしていただければよいかな、といった思いがあります。
—— 配信クエストの難易度はどのように決めていますか?
一瀬 基本的にはパッケージ内のクエストを遊びきった人たちが遊ぶクエストだと思っているので、難易度に関してはちょっと難しめのクエストを多めにしています。いったんラスボスをクリアしたくらいの人が楽しめるようなものですね。さらに、「Ver.3.0」をクリアしている人たちも満足できるような高難度クエストも順次配信しています。ただ全部そうしちゃうと新しく入ってきた人が遊びづらいので、いくつかはまだ上位に上がれてないようなランクの低い人でも楽しめるクエストも用意しています。
—— 高難易度クエスト、一瀬さんはさくっとクリアできるのでしょうか?
一瀬 泣きながら何回も何回もやってやっとクリアできる感じです(笑)。「とりあえず1回クリアしたからいいやろー」みたいな(笑)。僕は上手くないんですが、スタッフとかでめちゃくちゃ上手い子らはさくっとクリアしちゃいますね。
—— Twitterでスタッフ一発撮り動画が上がっていましたが、開発スタッフの皆さんこんなに上手いのか、と。
一瀬 全員ではないですが、エース機みたいなスタッフが何機(笑)かいます。さすがにそこに合わせているわけではなく、めちゃくちゃ上手い人、アクションは好きだけど上手くはない人、アクションがそんなに上手くないみたいな人、全員のタイムとかをとりつつ調整しています。
—— ギルドクロスシリーズや伝家の護石が配信されたのもバランス調整の一環なのでしょうか?
一瀬 バランス調整というよりは、今から始めてくれる人への応援キャンペーンみたいな感じですね。発売から時間が経っちゃっているので、このタイミングからでも他の人に追いつきたいみたいな人をフォローするための施策といった内容になります。
—— 配信クエストの報酬であるスタンプやジェスチャーも嬉しかったです。
一瀬 本当にいろいろなプレイヤーさんがいて感心するのですが、モンスターを狩猟するだけじゃなくて、みんなで集まって写真撮影してSNS上にアップしてコミュニケーションを楽しむ方も多くいるんです。なので、ジェスチャーみたいな自分を表現する要素も多く入れていますね。スタンプも、友達同士のコミュニケーションをより円滑にするようなものとして増やしています。
—— スタンプのアイデア出しについては?
一瀬 配信クエストと同じです。僕が「春シリーズ」「お祭りシリーズ」みたいな大枠のコンセプトを考えて担当に渡して考えてもらっています。ジェスチャーも同じような感じで、「座るシリーズが欲しい」とか「ちょっと隠れるシリーズが欲しい」とか…。そこから、シチュエーションが作れて写真撮影しやすくてネタになるものを選んで増やしている感じですね。
—— ちなみにこの配信クエストの登場モンスターを集計してみたところ、ナルガクルガとゴシャハギの登場回数がちょっと多くて、アンジャナフは百竜夜行以外では出ていなかった(※5)んです。登場回数の差に理由はありますか?
一瀬 基本的にはないです。全体的に満遍なく登場させるようにしてますね。ただ、フィールドによって登場するモンスターが絞られちゃうというのはあります。例えば、寒冷群島に登場するモンスターっていうのは寒冷群島専用のモンスターが多かったりするんです。そういったところと難易度的なところも相まって、ゴシャハギやナルガクルガが登場させやすかったりしてたまたま多くなったのかな、と。ただ、登場数とかも確認して決めているので、基本的にばらけるようになっているはずです。
—— 一瀬さんはアンジャナフが好きじゃないとかでは…?
一瀬 そういうわけじゃないです(笑)。
今だから話せる各種コラボの裏話
—— カプコンコラボとして5タイトルとのコラボがありましたが、とくにアイデアを出しやすかったのはどのタイトルでしょうか?
一瀬 まず、どれも僕1人で考えてるわけではなくて、それぞれ担当の人やそのタイトルを好きなスタッフにネタ出してもらっています。その上で、一番考えやすかったのは豪鬼です。豪鬼はプレイヤーキャラで、技とかを出してアクションできるところとかに親和性がありました。アーサーも槍を投げるとか、実際のゲームから『MHR』に落とし込みやすいものを入れ込ませてもらっています。
—— アマテラスの足跡やラッシュの乗り捨て再現など、本当にコラボ愛を感じるものばかりでした。それぞれのタイトルのディレクターさんとも綿密に打ち合わせをしているのでしょうか?
一瀬 最初にやりたいことやネタを決めて、それぞれのタイトル担当の方にチェックを依頼してそのバックもらって、という感じで進めました。社内なので基本的にはそこまで大きな問題になることはないですけど、「ここのデザインはこう直してほしい」といった、担当でしか気づけないような指摘もありましたね。
—— 他社コラボとしてソニックが登場しました。オトモがソニックの姿になるのにびっくりしましたが、これは『MHR』チームから提案なのでしょうか?
一瀬 コラボ自体はうちのプロデューサーがセガさんにコラボを持ち掛けて実現しています。チーム内のソニック好きなスタッフにデザインを担当してもらったので、いろいろとこだわりが出せて良いものに仕上がったんじゃないかなと思っています。作りたい案をいくつかセガさんに提出して見ていただき、多くを採用していただけたので実現できた感じですね。同時にゲーム中に使いたい曲も提案していて、ソニックの曲が流れるクエストを登場させられたのも良かったです。
—— リングを集めるクエストのリング部分も『MHR』用に新しく作ったのでしょうか?
一瀬 「金霊テントウをちょっと改造したらいけるんじゃない?」みたいな感じで、チームメンバーがノリノリで対応してくれました。せっかくならソニックっぽくしようっていうので、リングを集めるという遊びにしています。タイムアタックみたいな感じでどれだけ早くクリアできるのか、みたいなのはテストプレイ中にチームみんなでやっていて、結構盛り上がっていましたね。それだけに留まらず、モンスターと何かしらやり取りするクエストもあったほうがいいと思ったのでナルガクルガのクエストも追加しています。
—— ソニックコラボの重ね着装備については?
一瀬 ハンターのソニック着ぐるみという案もあったんですけど、体型とかの問題で落とし込めませんでした。そこで走るソニックのスピード感みたいなイメージを、ハンターの世界に存在するスポーツウェアみたいなところに落とし込んでデザインしました。色の変更できる着彩部分は、ハンター衣装ではソニックのキーカラー、ガルクではテイルズのキーカラーを活かせるように配色しています。『モンスターハンター』の世界だとごっつい鎧とかが多かったりするので、スポーツウェアみたいなラフな格好は嬉しいですよね。パーツとして使っておしゃれに着こなすこともできるので、そういった意味で末永く使ってもらえるような衣装かな、と思っています。どうしてもソニック自体を登場させたかったので、体型の似ているアイルーで実現できたらいいな、とソニックの着ぐるみをさせてもらいました。基本的にはアイルーのモーションなのでだいぶ猫背のソニックにはなるんですけどね(笑)。ソニックが走っているようなモーションを入れたり、「スーパーソニック」に変身したりと、できる限りソニックに近づけるようにいろいろな遊びを仕込んでみました。
—— ユニバーサル・スタジオ・ジャパンとのコラボクエストについてお聞かせください。
一瀬 今まではビジュアルだけを変更できる重ね着装備を配信してきたんですけど、今回のコラボでは実際に使用できる武器や防具を追加しました。太刀、弓、防具に加えてガルクやアイルーたちのも用意しているので、それなりのボリュームになっているはずです。
—— 「USJ・青熊たちの猛進マーチ!」などのクエストは、パレードをモチーフにしているのでしょうか?
一瀬 はい。ユニバーサル・スタジオ・ジャパンさんが青色のイメージカラーを連想させるので、アオアシラに表立ってもらおうと登場させています。さらに、『MHR』の看板モンスターであるマガイマガドが登場するクエストも用意しています。アオアシラのちょっとネタっぽいクエストとマガイマガドとがっつり遊べるクエスト、2つ用意しているのでそれぞれ楽しんでもらえたら嬉しいです。