遊びのコンセプトから、デザインへ—— Nintendo Switch『モンキーバレルズ』インタビューこぼれ話
Nintendo Switchダウンロード専用ソフトとして好評配信中の『モンキーバレルズ』。
インタビューのこぼれ話として、キャラクター秘話などを公開!また、初期スケッチや試作画面(ドット絵)もあわせて紹介します。
ゲームを遊んだ人も、まだ遊んでいない人も、“モンバレ”の世界をお楽しみください!
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『モンキーバレルズ』は、『毛糸のカービィ』や『ヨッシー ウールワールド』、3DSの『すれちがいシューティング』など、“いい感じ”の触り心地の作品を開発してきたグッド・フィールがリリースした、完全オリジナルのアクションシューティングです。
NDWでは配信直前インタビューを公開。
また「ニンテンドードリーム」1月号(11月21日発売)では、ステージやキャラクターについてなど、さらに深いお話を掲載しています。
今回はこぼれ話として、未公開のインタビュー内容を放出していきます。ゲームをクリア済みの方も、まだまだ攻略している最中の方も、ぜひご覧ください。
ディレクター
塚脇忠典(つかわきただのり)さん
グッド・フィールの設立から所属し、さまざまなゲームのアートディレクターやコンセプトアートなどに携わってきた「絵をなんとかする係」。
本作ではディレクター、企画、キャラクターデザインやコンセプトアートも担当。
「遊びのコンセプト」からデザインに落とし込んでいく、グッド・フィールの作品作り
—— 今まで作られてきたゲームはアクションが多いですが、今作のアクションシューティングの制作とは共通する部分などはありましたか?
塚脇 プレイヤーが瞬間的に情報を処理して、アクションしてフィードバックする、という設定は今まで作ってきたアクションと似ています。
敵キャラクターなども「これは触ったらヤバそう」「これは硬そう」というのが瞬間的にわかるように設計に落とし込んでいますね。
—— 確かに、数発撃てば倒せるような小さい敵から、明らかに頑丈そうな巨大な敵まで、視覚的な情報だけでわかりやすい敵がたくさん登場しますね。
塚脇 今まで様々なアクションゲームを作ってきた経験もあり、ゲームの遊びの部分にデザインの前提を置いているというところがあります。
—— ちなみに、現代が舞台ということでロボット掃除機など現代的な家電製品が襲ってくる一方、一昔前のブラウン管のテレビが襲ってくるのは……?(笑)
塚脇 ブラウン管のテレビは大きくて壊し甲斐がありますが、薄型テレビはあまり壊したくないなと……(笑)。
しかも、もともとテレビの中でもブラウン管が一番強い設定だったんです。その設定は結局無くなってしまいまして、テレビのラインナップでは大型の液晶にスピーカーが付いたホームシアターが最強になりました。
—— ホームシアター! うちには無い家電でした(笑)。また、ゲームセンターの筐体も登場しまね。
塚脇 ゲームセンターの筐体は、中身のゲームが複数種類あるんです。
インベーダーゲームのようなものはレーザー、格ゲーは波動、麻雀ゲームは麻雀牌を撃ってくるなど、ゲームの種類によって攻撃が変わるというネタが仕込んであります。
ただオシャレなだけじゃない! キャラクターも、遊びを前提において丁寧にデザイン
—— 主人公などキャラクターたちについても、デザインするときに意識したことなどを教えてください。
塚脇 キャラクターのデザインも遊びが前提にあって、主人公であるマサルのモヒカンはゲーム画面を上から見たとき方向がわかるようデザインされています。
同様にヒロインのハナコも頭にリボンをあしらって、向いた方向がわかるようにしました。
—— オシャレなだけではなく、そんな理由もあったんですね。
塚脇 一方でコテツは、シャツにGBITSの文字があるくらいかな。これは弊社のマスコットキャラクターであるGBITから取っています。
芝山さんは、頼れる案内役ということで、猿より体の大きなゴリラのキャラクターにしました。天才おしゃれゴリラという設定なので、スポーティーなファッションでゴージャスなアクセサリーを付けたデザインになっています。
—— 敵キャラクターの蟹田越前は、一応人間なんですよね? 蟹という名前の。
塚脇 そうですね、人間です(笑)。ただコンセプトとしてはカニなので、とにかくカニとわかるよう、いたるところにハサミなど蟹のパーツを入れるっていう……(笑)。
デモで登場するので、頭だけ映っておけば蟹とわかるようなデザインにしました。
キャラクターは、いろんな人が見て嫌悪感を抱かないよう、個性を付けつつも気を付けて作り込んでいきました。
ベタなネーミングにも意外な秘密が!? キャラクター名のウラ話
—— キャラクターの名前の由来についても教えてください。
塚脇 はい。主人公のマサルは、「勝(まさる)」という漢字のイメージから取ったのと、あとは単純に「サル」ですね。
—— あっ、意外に気づかなかったです(笑)。
塚脇 ヒロインのハナコについても、日本人形のイメージで、ベタな日本っぽい名前にしました。これはわりと早い段階から決まっていましたね。
弟分のコテツについては、ちょっとネタバレになってしまうんです。コテツは、生物兵器の実験のためカニダエレクトロにさらわれてしまうのですが、ゲームを進めていくと、コテツという名前がしっくりくる理由が分かると思います。
塚脇 それから芝山さんは元々、柴犬になる予定だったんです。
犬はちょっと難しいなとゴリラにしましましたが、名前は初期の設定の名残で……漢字は違いますけど。開発チームもみんな呼び捨てにせず「芝山さん」とさん付けで呼んでいます(笑)。
説明を読むだけで面白い豊富な武器! うまくハマったときが気持ちいい!
—— 武器のデザインも豊富ですが、どれもユニークですね。
塚脇 武器は、すべて日用品としてあるものから作るというルールを決めて、スタッフにネタを出してもらいました。
—— 性能と武器のネタはリンクしているのでしょうか?
塚脇 あまりリンクはしていないかな(笑)。ただ初期の武器は、ベーシックなカラーリングやモチーフが入っていることが多いです。
—— 説明文で「リロードは早いけど射程は短い」など、自分が使いたいものがわかるのはいいですね。「甘々仕様にしといたぜ」みたいな説明も面白いです。
塚脇 使いやすい武器は「甘々」ですね(笑)。ユニークなコメントやデザインも武器担当のスタッフがいろいろ考えて用意してくれました。人によって、お気に入りの武器は出てくるだろうと思います。
ただステージを進むと、どうしてもお気に入りの武器だけではクリアできなくなります。もちろん上手な人はどんな武器でもクリアできるでしょうけど。攻略に詰まったら、ぜひいろいろ試してほしいですね。試してみて、うまくハマったときが気持ちいいゲームですので。
外国スタッフによるアートディレクション! カッコイイ日本を再発見!?
—— ステージセレクト画面が、右から左に流れていくのも独特ですね。
塚脇 東京から大阪まで、東海道を巡っていくのでこうなりました。
ちなみに上の「東京」「神奈川」などエリアを表している部分が緑色で、高速道路の看板をイメージしています。下の「五反田」「品川」などステージを表している部分は、一般道で青ですね。
—— なるほど、どこかで見た配色だと思ったら(笑)! しかも、馴染みのある場所が出てくると「おっ!」と思います。
塚脇 ちなみに僕はコンセプトアートを担当しているんですが、アートディレクターを担当したのはフランス人のスタッフで、外国人から見た日本のカッコよさなどもふんだんに取り入れています。
街の造形なども、完全にリアルな日本を再現するのではなく、外国人の視線が入った「ここがカッコイイ!」という日本のイメージが活かされています。箱根なんかもリアルな箱根のイメージとは異なりますね。
—— ただリアルな場所がモデルになっているだけではないんですね。
塚脇 そうですね。大阪も新世界の看板やネオンなどが……「本物の造形と違うぞ」ってクレームがきそうですけど……。
—— これもフランス人スタッフさんのさじ加減でそうなったんですか?
塚脇 はい(笑)。
・・・
歯ごたえバツグンのアクションシューティング。クリアした方も、今回のインタビューを踏まえて遊んでみるとまた違った景色が見えてくるかも?
特に「遊びのコンセプトをデザインに落とし込んでいく」という手法からは、これまでさまざまなアクションタイトルをいい感じの手触りに仕上げてきたグッド・フィールらしさを感じました。インタビューの最後には、塚脇さんから「これがグッド・フィールの品質です」という自信に満ちた一言も! すでにゲームを楽しんでいる方なら、その言葉にもうなずけるはずです。
(ライター/平原学)
こちらも注目! 初期スケッチ&2Dドット絵の画面
配信直前のインタビューで「映画『マッドマックス』のようなアクションシューティングを」と語っていただいた本作。
そしてニンテンドードリーム1月号本誌では、ピクセルアート+3Dになった経緯やその恩恵についても掲載しています。
今回のこぼれ話と合わせて、初期スケッチ&2Dドット絵の画面を掲載!
モンキーバレルズ(MONKEY BARRELS)
□Nintendo Switchダウンロード専用ソフト
□2019年11月7日(木)より配信中
□1500円(込)
□公式サイト https://monkey-barrels.com
□公式ツイッター @monkey_barrels
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