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24年8月27日は『MOTHER2 ギーグの逆襲』の誕生日! 30周年記念にシリーズ大好き編集者がその魅力をあらためて振り返ってみた!

2024年8月27日は『MOTHER2』30歳の誕生日! 若干当日には間に合いませんでしたが、ニンドリ本誌の連載「MOTHER通」担当のシリーズ大好き編集者ひろぽんが、「『MOTHER2』で感動したor感心したor感銘したor感服した15のポイント」を語ります。ファンの方もこれから始めてみようというかたも、気楽に読んでみてくださいね!

『MOTHER2』の好きなところ15選

『MOTHER2』が名作なのは、『MOTHER2』が名作であるという理由が多すぎるからではないでしょうか。
ストーリー、システム、グラフィック、BGM、キャラクター、それらとはまた別の雰囲気程度のもの……。
人によって名作認定ポイントもさまざまでしょうが、今回はその中から「『MOTHER2』で感動したor感心したor感銘したor感服した15のポイント」を紹介します。
ポイントによっては『MOTHER2』よりも先んじていたゲームもあると思いますが、あくまで個人的な印象であることをご了承ください。

1:「シンボルエンカウントバトル」というアイデア

フィールド画面に敵が歩き回っていて、触れるとバトルになる……という、いわゆるシンボルエンカウントバトル。
今では一般的ですし、採用しているRPGは当時からもありましたが、「背後を取ると先制攻撃できる」「こちらが強くなる、あるいはダンジョンの主を倒すと敵が逃げていく」「弱い敵は一瞬で倒せる」というシステムはわりと目新しかった印象です。
プレイヤーたちが強くなったことを、シンボルエンカウントというシステムでわかりやすく示してくれるアイデアと言えます。

2:「バトルBGMが豊富すぎる」というアイデア

当時は通常戦闘、ボス戦、ラスボス戦の3~4曲程度がふつうだったバトルBGMですが、『MOTHER2』は15曲以上のバトル曲が存在します(「ムの修行」時や、ゆだんロボ戦のトンズラブラザーズ乱入時の曲などを除いても15曲以上!)。
RPGのプレイ時間のうち、バトルが占める割合はけっこう多いと思われるので、バトルBGMのバリエーションに力を入れるのはある意味当然かもしれません。敵の印象もBGMによってより強まるし、何よりプレイしていて楽しいです。
ちなみに『MOTHER3』のバトル曲は55曲以上ありますが、これは『3』がヤバ過ぎるだけです。ヤバい。

3:「バトル背景が斬新すぎる」というアイデア

RPGの戦闘時の背景は「真っ黒」、あるいは「戦っている場所の地形」というのが一般的だった時代に、「戦闘BGMのテンポに合わせたカラフルで幾何学的なアニメーション」を背景にしたのが『MOTHER2』です。
発売当時……というか今現在でもなかなか見ないパターン。
背景のアニメーションがプレイヤーの心情を反映しているかのようでもあります。

4:「HPリール」というアイデア

ダメージを受けるとHPの数字がカウンターのように減っていく! 
「ちめいてきなダメージ」を受けてもゼロになる前に回復できればOK! という、ちょっとしたリアルタイム要素を取り入れたバトルシステム。強敵とのバトルではこのシステム前提でとんでもないダメージを与えてくることも多く、通常のバトルとはまた違った緊迫感が生まれます。

5:プーの「へんしん」というアイデア

プーだけが使えるコマンド「へんしん」は敵の姿に変身し、能力も使う技もその敵と同じになってしまうというもの。
すべての敵(一部ボス除く)の攻撃手段を味方が使える! というのはなかなかロマンあふれるアイデアです。
失敗することも多く、正直あまり使うタイミングはなかったりしますが……。

6:「プレイヤーのもとに走ってくる人」というアイデア

「エスカルゴ運送」や「マッハピザ」を電話で頼んだり、「どうぐやのカンバン」を使ったりすると配達員やお客さんが画面外からこちらへ走ってきます。
どうでもいいと言えばどうでもいいことなんですが、ダンジョンの中だろうが、山あり谷ありの複雑な地形(グレートフルデッドの谷とか)だろうが、しっかり障害物を避けながらこちらに走ってくる配達員&お客さんの姿は妙にクセになります。

7:「どせいさん文字」というアイデア

一目見たら忘れられないフォルム、味のあり過ぎるセリフが魅力の「どせいさん」ですが、形容しがたいフォントの「どせいさん文字」はまさに衝撃のアイデアでした。
セリフのフォントでキャラクター性を表現してしまう。スゴい。
そのフォントをオリジナルで作ってしまう。スゴいスゴい。ゲームシステム的にも、あの文字の幅すらバラバラなどせいさん文字を表示させるだけで大変だったのでは。

8:「ムーンサイド」というアイデア

漆黒の闇に浮かぶネオンサインのような街並み。
「はい」が「いいえ」で「いいえ」が「はい」というあべこべのルール。
それを差し引いても何を言ってるかまったくわからない街の人々のセリフ。不安を誘うBGM。
これまでとは一味違う攻撃を仕掛けてくるシュールな敵。ハマるといつまで経っても出られない複雑な構造。すべてが唯一無二、二度と行きたくないような、それでいてふと思い出してしまう不思議な街。

9:「地底大陸」というアイデア

ネスたちを豆粒のようにちっちゃくすることで、恐竜たちやよくわからない岩のでっかさを表現するという逆転の発想。
このビジュアルはとにかくインパクト大でした。まさにアイデアの勝利。火山のように吹き出す温泉もスケールがでっかい!

10:「よくわからないグッズ」というアイデア

実用性のないお遊びグッズとして『MOTHER』から続投の「ものさし」、その派生ともいえる「ぶんどき」、効果のしょうもなさに加えて一度使うと壊れる役立たずっぷりが腹立たしい「グレオレマシーン」、一応効果はあるけど使い捨てでもらっても特にうれしくない記念グッズ「ペテネラのくつした」、もらってもどうしようもない感じがリアルな「えはがき」など、よくわからないものをあちこちで入手できます。
いいよね! なんだかよくわからないわりに有用な「サルのきもち」という例もありますが。
ちなみにプーが持っている「さとりのいし」はコンセントレーション不能状態を防ぐ効果がありますが、たぶん知らない人が多いと思います。

11:「豊富な食べ物」というアイデア

回復用のグッズは「ハンバーガー」や「オレンジジュース」といった食べ物・飲み物がほとんど。世界各地を旅する『MOTHER2』は、イーグルランドを飛び出してサマーズ・スカラビ・ランマといった街へ向かうとご当地ならでは食べ物が売られているのが特徴。
回復量はともかくとして、「ひしょちのジェラート」「コンガリくしやき」といった普通においしそうなものも多いのです。
どせいさんたちが住むサターンバレーで売られている「アーモンドもなか」も気になる食べ物。香ばしさ&香ばしさの二乗じゃないですか。絶対うまい。
同じくサターンバレーで売られている「ブタようかん」はよくわかりません。たぶんブタの形をしているんでしょうが、豚肉が使われている可能性もあります。

12:「味付け小物」というアイデア

「あおのり」「チョコチップ」「こなざとう」といった「味付け小物」は、相性のいい食べ物と同時に使うことで効果を高めてくれます。その組み合わせは「ポテトフライ」に「ケチャップ」、「ゆでたまご」に「しお」などわかりやすいものもあれば、「バナナ」に「コンデンスミルク」、「あおのり」に「やぎバターがゆ」など、「試したことないけどそうなの?」というものまでさまざま。
「カップめん」に「タバスコ」という組み合わせは『MOTHER2』で初めて知って、一時期マネしていました。コショウよりうまい気はします。コショウでいい気もします。

13:「グッズの説明」というアイデア

こうした多彩過ぎるグッズも、「せつめい」で効果をちゃんと教えてくれるのが、『MOTHER2』のユーザーフレンドリーな部分です。
「せつめい」自体がネタになっているというパターンもあり、いくら何でも長すぎる「サマーズふうパスタ」、普通に作り方が解説される「ほしにく」「まめのコロッケ」なども味があります。ついでにいうとグッズだけでなくPSIも効果を説明してくれます。親切。

14:「タコけしマシン」というアイデア

鉄のタコや鉄のコケシが道をふさいでいるRPGは『MOTHER2』の発売まではありませんでした。そりゃそうか。
ようは「カギを手に入れるとトビラが開く」というよくある仕掛けなのですが、それをわざわざタコやコケシにしてしまうところがMOTHER流と言えましょう。普通に「たびごやのカギ」や「ろうやのカギ」「とうのカギ」といったグッズもありますが。

15:「15選じゃ収まらない」ほどのアイデア

本当は30周年にちなんで30選にしたかったのですが、記事が長くなりすぎる可能性があるため半分とさせていただきました(グラフィックのポップさとか、ライブシーンとか、マジカントとかも触れたかった!)。

現在(2024年9月8日まで)開催中の「『MOTHER2』のひみつ。」、みなさんはもうチェックされたでしょうか。
熱心なファンでも初めて目にしただろうと思われる、まさに幻の開発資料が満載の展示でしたが、実際のゲームには採用されなかったアイデアの数々を見たときは「危険すぎる……!」とさえ思ってしまいました。
現在、私たちが知っている『MOTHER2』は、無数のアイデアの中からとくにおもしろいもの、ユーザーにとって意義のあるものを優先的に採用した結果生まれたものなのでしょう。それを理解したうえで、おそらくはストーリーや他の仕様との兼ね合いで採用されなかったアイデアの数々……。
未実装の敵キャラ(グラフィックからいろいろ想像が捗ります)、未実装のストーリー展開、未実装のイベントといった展示を見たときは、「これも、あれもゲームで見たかった!」と思ってしまうのです。
それほどまでに危険で、魅力的なアイデア群にあふれた展示でした。


私の『MOTHER2』の思い出は「プレイ中、作り手のアイデアに殴られまくっていた」に尽きるのかもしれません。この30年間、いったい何人の人々に『MOTHER2』はアイデアのSMAAAASH!! を繰り出してきたのでしょうか。
おそらく、という確実に、今後の30年間以上も『MOTHER2』はプレイヤーに衝撃を与え続けることでしょう。
(ニンドリ編集部・ひろぽん)

<関連リンク>
▶︎ほぼ日MOTHER PROJECT

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