『パラノマサイト FILE23 本所七不思議』インタビュー 制作秘話からキャラクター深掘りまで
発売より1周年を迎え、大勢の人々を魅了し続けている『パラノマサイト』。制作秘話からキャラクター深掘りまで、ディレクターの石山貴也さん、デザイナーの小林元さんにお話をうかがいました!
キャラクターデザインとキャラ付け、昭和テイストの盛り込み方等、興味深い開発秘話からディープな掘り下げまで、たっぷりお楽しみください!
※「ニンテンドードリーム」2024年7月号より、再編集版をお送りします。
※この記事にはゲームのネタバレが含まれています。プレイしたことのない人は、よろしければ序盤プレイをお送りしたYouTubeライブ配信(ダイジェスト版)をご覧ください!
『パラノマサイト FILE23 本所七不思議』とは…
スクウェア・エニックスより配信中のアドベンチャーゲーム(以下ADV)『パラノマサイト FILE23 本所七不思議』。
1980年代の昭和後期、東京下町の雰囲気が色濃く残る墨田区を舞台にした群像ホラーミステリーアドベンチャー。死者を蘇らせる秘術をめぐり、「呪詛」の力を得た男女がそれぞれの思惑を絡み合わせ、物語を紡いでいく。
基本はテキストアドベンチャーですが、分岐チャートや謎解き、能力バトル、脱出ゲーム、メタ要素など、あらゆるアドベンチャーの魅力が詰まった1本です。ニンドリでも発表当初より注目してきましたが、幅広いキャラクターたちが織りなす人間ドラマがすばらしく、じわじわと人気が広がりました。
そこで本作が発売1周年を迎えた記念に、月刊誌「ニンテンドードリーム」2024年7月号(5月21日発売)では、ロングインタビューを掲載しました。
プロフィール
石山 貴也さん
ディレクターおよびシナリオを担当。過去には『スクールガールストライカーズ』や、『探偵・癸生川凌介事件譚』シリーズ(株式会社And Joy作品)などを手がける。
小林 元さん
グラフィッカー、デザイナー。『すばらしきこのせかい』シリーズ、『スクールガールストライカーズ』などでキャラクターデザインを担当。
発売後も大忙しの1年間!?
―― 発売から早1年ですね。この1年で、おふたりにはどのような変化がありましたか?
石山 「石山さんと話したいという人がいる」と人づてに言われるなどで飲みに行く機会が増えて、知り合いが増えました(笑)。ゲーム1本でここまで変わるんだなぁと感じました。
小林 私は、ゲームをリリースしたあとがこんなに忙しかったのは、今までで初かもしれません(笑)。
―― コラボカフェやグッズなど展開がすごかったですよね。そういった手応えを最初に感じられたのは、9月の「日本ゲーム大賞2023」で優秀賞を受賞した瞬間でしょうか?
石山 いやもう、あのときが『パラノマサイト』のピークだったなと思ってます…(笑)。
一同 (笑)
石山 ポップアップストアやらコラボカフェやら、ぜんぶ同時期に重なってたし。すごかった。勢いが。
小林 まだまだこれからもありますからね!?(笑)
ただ、実はこれらのイベントは時期が被るはずじゃなかったんですよ。でも、そういうところも運がよかったのかなぁと思いました。
石山 運がいいというのは、本当にずっと思い続けています。作っているときは、こんな展開まったく考えてなかったです。
―― 『パラノマ』は、おふたりにとってもアドベンチャー(以下、ADV)というジャンルにとっても、大きな波になったのではないでしょうか?
石山 自分の今までの作品のファンや、ADVが好きな人は少なくとも楽しんでもらえるだろうとは思っていましたが、まさかここまで多くの人に届くとはびっくりです。
小林 本当にありがたいですね。
―― 今までの積み重ねもあったからこそですね。
石山 この1年間、お客さんの反応をずっとエゴサして見ています(笑)。「『パラノマ』がおもしろかったから、ほかのADVもやりたい」とか、「ADV熱が高まっている」みたいな反応があるとうれしいですよね。今までADVはあまりやっていなかったという層の人にも広がったのを見ると、『パラノマ』を作ってよかったなぁと感じます。
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[2]は、本作の根本の部分から、キャラクター作りについてまで、制作秘話をお届けします。