小林 元さん『パラノマサイト FILE23 本所七不思議』キャラクターデザイン秘話(キャラかみ 2023年6月号より)
モンスターからカワイイ女の子まで、多彩なキャラクターたちを世に送り出す小林元さんに、『パラノマサイト FILE23 本所七不思議』のキャラデザインについてなどをお聞きしました!
(ニンテンドードリーム2023年6月号より)
スクウェア・エニックス 小林 元さんへのインタビューを再録
小林 元さん
スクウェア・エニックス所属のグラフィッカー、デザイナー。『ファイナルファンタジーⅠ・Ⅱアドバンス』でパッケージイラストと、同社看板シリーズ作品に関わる。
『武蔵伝Ⅱ ブレイドマスター』、『マリオバスケ 3on3』、『サガ2 秘宝伝説 GODDES OF DESTINY』『サガ3 時空の覇者 Shadow or Light』、『すばらしきこのせかい』シリーズ、『スクールガールストライカーズ』ではキャラクターデザインを担当。最新作は『パラノマサイト FILE23 本所七不思議』。
イラストを描くようになったキッカケは?
両親が共に絵を描く人だったので、その影響もあってか幼少期からずっと絵を描いていました。
その頃は動物や昆虫、恐竜などの絵ばかり描いていて、人間を描くのは苦手でしたね。ウチは漫画や雑誌はあまり買ってもらえなかったのですが、ある日ずっと欲しがっていたファミコンを買ってもらえて、そこからはゲームのキャラクターの絵ばっかり描いていました。
そんな感じでしたので、自然とゲームのキャラクターデザインの仕事ができたらいいなーと思うようになっていきました。
『パラノマサイト』のキャラクターについて
案内人と興家君はデザインが大変だったキャラですね。
どちらも開発初期、このゲームの絵作りを決める段階で作っていたキャラクターなので、試行錯誤がありました。特に案内人は、もし『パラノマサイト』がシリーズ化した時には再び登場するだろうという事も考慮してデザインしたので、決定までには多少時間がかかりました。
▼案内人デザイン案
『パラノマサイト』のデザインで心がけたことは?
まず本作はリアルな世界観なので、それに合ったキャラクターを、という事で今まで自分が関わってきたゲームよりもリアル寄りなデザインを試みました。
ただ、あまりリアル過ぎても自分の良さを消してしまう事にもなるので、程よくデフォルメを施し、リアル寄りだけど馴染みやすいキャラクターを目指しています。あとは昭和感を出すために試行錯誤し、筆っぽいラインを入れることで本作の独特の雰囲気を出せたのではないかと思います。
▼キャラクタータッチ案
呪影のデザインについて
七不思議の呪いをキャラクター化したものが「呪影」なのですが、お気に入りは「置いてけ堀」です。
置いてけ堀は「呪影とは?」をチーム内で定めるために最初にデザインしたものなので、思い入れがあります。最初はチーム内でも程よい怖さでいい!と評判だったのですが、次第にみんな見慣れてきちゃって、開発中は「かわいい」と言われていました(笑)。
よく見ると着物柄が青海波だったり、他の呪影も少しこだわって柄とか入れたので、そういう部分も見て頂けるとうれしいです。
メインイラストについて
イラストのコンセプトとしては昭和感を出したいという思いがあったので、その当時の手描きの映画ポスターのようなテイストを目指しました。
さらにホラー作品であり、群像劇であるという事を伝えるために、呪影や主人公たちを配置し色味などを決めていきました。それぞれの人物がなにを思い、どういう運命をたどるのか、いろいろと想像を膨らませたくなるような絵にしたかったので、アレコレ想像しながら見てもらえればうれしいです。
キャラクター作りで一番大事だと思うことは?
求められる状況によってキャラクターの役割もさまざまなので一概には言えないのですが、自分の場合は“存在感”を大事にしています。
「キャラクターを作る」という事は実際には存在しないものを作り上げるという事なので、作り物っぽくならないよう、表情やポーズひとつ考えるにも個性を大事にして、本当に存在しているのではないかと思ってもらえるようなキャラクターを目指してデザインしています。
1.人生で初めて描いたイラストは?
動物とか恐竜の絵だと思います。大好きで図鑑とか見ながらずっと描いていました。
2.好きなイラストレーター・マンガ家さんは?
あきまんさん(※1)、九井諒子さん(※2)、田中達之さん(※3)、村田蓮爾さん(※4)、フーゴ・ハルさん(※5)、アダム・ヒューズさん(※6)、ほかにもたくさん居すぎて上げきれないです…。
3.好きなキャラクターは?
自分でデザインしたキャラはどれも思い入れがあって好きなので、それ以外だと冨士宏さん(※7)の描かれるワルキューレは普遍的なデザインですばらしいですね。ずっと心の中で輝き続けています。
4.今まで遊んだ中で一番好きなゲームは?
いろいろありすぎて難しいのですが『ストリートファイターⅡ』だと思います。ずっとゲームセンターで対戦ばかりしていました。
5.今遊んでいるゲームは?
『ホグワーツ・レガシー』を遊んでいます。いろいろな魔法を自由に使えて楽しいです。
6.この仕事をしていなかったら今現在どんな仕事をしていた?
なにかしら絵を描ける仕事に就こうとしたと思います。あとは人と接するのが好きなので、接客業とかやっていたかもしれないです。
7.最近感動したことは?
最近マットレスを新しく購入したのですが、それで寝起きがすっきりしたこと。
※1:フリーのイラストレーター、キャラクタデザイナー、漫画家。カプコン在籍時に『ファイナルファイト』『ストリートファイター』シリーズなど多くの作品に携わった。
※2:漫画家。代表作は「ダンジョン飯」。
※3:アニメーター、アニメ監督。CANNABIS名義でイラストレーターとしても活躍。
※4:イラストレーター、デザイナー。『豪血寺一族』シリーズのキャラクターデザインや、アニメ作品のキャラクターデザインにも携わる。
※5:イラストレーター、ゲームデザイナー。自らゲームブックのデザインを手がけるほか、「迷宮キングダム」シリーズほかで挿絵も担当。
※6:アメコミのアーティスト。ワンダーウーマンやキャットウーマンのイラストが著名。
※7:漫画家。イラストレーター。ナムコ(現バンダイナムコエンターテインメント)在籍時に『ワルキューレの冒険』などでキャラクターデザインを担当。
『探偵・癸生川凌介事件譚』シリーズ コラボ企画について
癸生川たちを描く際に気を付けた事といえば、頭身や絵のディティールのレベルを『パラノマサイト』のキャラクターたちに合わせるという点と、筆タッチの輪郭線を足した、という事でしょうか。
2人を描く上で、まずディレクターの石山にイメージや要望を確認し、それらを達成することを一番大切にしました。折角描いてもシリーズのファンの方たちに喜んで頂けるものになっていないと意味が無いので、その辺りは気を付けたつもりです。喜んで貰えていたらいいなぁ。
※ジー・モードの『探偵・癸生川凌介事件譚』シリーズと『パラノマサイト FILE23 本所七不思議』の発売を記念したコラボレーションムービーとイラストが作られた。
<関連リンク>
▶︎パラノマサイト FILE 23 本所七不思議 公式サイト
<商品概要>
対応機種:Nintendo Switchほか
発売日:2023年3月9日(木)
価格:ダウンロード版のみ:1,980円(税込)
必要容量:753.0MB
ジャンル:ホラーミステリーADV
CERO:17歳以上対象
▶︎マイニンテンドーストア購入ページ
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