石山 貴也さんが語る!『パラノマサイト』魅力ご案内インタビュー(+デザイン画公開)
2023年、もっとも話題となったアドベンチャーといっても過言ではない『パラノマサイト FILE23 本所七不思議』。本記事では発売当時にニンテンドードリームに掲載された、作・演出を手掛けた石山貴也さんへのインタビューを再録、と同時にキャラクターのデザイン画もいくつか合わせて公開します。
(ニンテンドードリーム2023年5月号、ニンテンドードリーム2023年7月号より)
石山貴也さんへのインタビューを再録
ディレクター/シナリオ 石山 貴也さん
昭和の下町ホラーミステリーへご案内
—— 本作のタイトル名の由来についてお聞かせください。
石山 『パラノマサイト』というのは、「パラノーマル(超常現象)を覗き見る力、およびその光景」を示す造語になります。超常現象をテーマにしたオムニバスを想定したタイトルで、シリーズ化を睨む強い意志で付けました。したいです、シリーズ化。「FILE23」も、「無数にあるうちの1エピソードですよ」というニュアンスで付けました。したいです、シリーズ化。
ちなみに、タイトルロゴの拡大されたOは、「無理やりこじ開けられた、あっちの世界への覗き穴」をイメージしています。
—— 怖さの演出をリアルにするため、工夫した点をお聞かせください。
石山 おお。リアルだと感じていただけたならありがとうございます!
特別に意識してやった工夫はないのですが、全天球のパノラマ背景を使った演出であるとか、実在している伝承や地名などを織り交ぜたエピソードであるとか、ゲーム内の「資料」に実在する錦絵などを使ったことでリアリティが出たのであれば企画当初のコンセプトを満たせたかなということで幸いです。そう思うことにします。
—— 昭和後期という時代や「本所七不思議」という題材を扱った理由は?
石山 これまであまりゲームの題材になっていない伝承ということで、プロデューサーの奥州から「本所七不思議」を提案されたのですが、いろいろと資料を調べてみたところ、伝わり方によって種類も呼び方も違っていて、ほどよく曖昧であったり余白的な部分があったりして、これは想像力が刺激されるなと思って、進めてみることにしました。あとは墨田区さんが協力してくれることになったというところも大きいです。
また、東京の伝承ということで、昭和特有の神秘感というか、オカルトブームとかバブル前のごちゃごちゃした空気感や、ちょいレトロな映像表現なども今作の雰囲気に合っていると思ったので、この時代設定にしてみました。
—— なるほど。実際に本作の影響を受け、墨田区を訪れたい人に、ぜひ訪れてほしい場所があれば教えてください。
石山 実は本所七不思議のゆかりの地は、本作で採用した説以外にもたくさんありまして、各地に立て札や石碑などがあったり、あるいはなにもなかったりします。ぜひ調べて探してみてください。
また、雑誌「ムー」さんの特別編集による観光マップ「本所七不思議探索地図」が、現在、両国観光案内所や街あるき案内処などに置いてあるそうですので、墨田区を訪れた際はまずそちらをゲットしましょう! (※)
※2023年3月時点
作中の「志岐間邸」として登場した建物は、墨田区指定有形文化財の「立花大正民家園 旧小山家住宅」です。
そちらは見学可能な施設ですので、時間など墨田区のホームページ等でご確認ください。
「南割下水通り」は現在「北斎通り」に名前を変えていて、通り沿いにある「緑町公園」の隣には、大きな「すみだ北斎美術館」が建っています。そこで江戸時代の本所の様子に思いを馳せてみるのも良いかもしれません。
また「駒形高校」として登場している学校は、すでに廃校になっている向島中学校の校舎を撮影させていただいたものです。そのほか、「鳩の街通り商店街」などでも撮影させていただきましたが、今作のロケーションはただの路上だったりする場所も多いので、もし訪れる際は、大勢で立ち止まっての撮影などは控え、付近の迷惑にならないよう十分な配慮をお願いします。
—— 本作は『癸生川』シリーズを彷彿させるプレイ感覚でした。世界観的にも実は繋がっている部分があったり…?
石山 プレイ感覚が近いのは、おそらく自分ががっつりシナリオとスクリプトまで書いているからでしょう!
そこは隠そうとしていません。世界観的なつながり、誰もわからないような匂わせを忍ばせることも実はこっそり考えたこともありますけれども、時代設定が違いますし、なにより本作の世界は超常現象が存在するので、さすがに繋げるわけにはいかないと気付きました。大切ですね気付き。
なのでここはハッキリ無関係であると断言しておきます。ジー・モードさんとの『癸生川』×『パラノマサイト』のコラボキャンペーンの際に、少しだけ共演する動画を作りましたが、それも夢時空の特別編ということで。
昭和の雰囲気たっぷり『パラノマサイト』を彩るキャラクター
石山さんに魅力的なキャラクターたちについても、裏話を語っていただきました!
キャラクターデザインの小林元さんによるデザイン案も合わせて公開します。
※キャラクター名の後ろに書かれている数字は、開発時に設定されていた年齢です。
私立探偵 櫂 利飛太(28)
石山 探偵と名乗っておくだけでキャラが立つ上に、能動的に探りを入れて情報を得ることができてストーリー進行上便利だからとりあえずひとり入れておけ! 的な感じでキャラリスト作成と同時に枠が決まっていたヤツです。
そして昭和で濃いめの私立探偵と言えばどうしても「探偵物語」の工藤俊作のイメージがあるのですが、そこから少しズラしてこういうルックスになったのはコバゲンさんのアイデアです。すばらしい。であれば西洋風の響きの名前にしたら胡散臭いかなーと思って、こうなりました。
言動も服装も大胆で奇抜な私立探偵。クールなのに無邪気な顔を見せたりエキセントリック。
刑事バディ 津詰 徹生(50) & 襟尾 純(28)
石山 ベテラン刑事と若手刑事のペアです。そこだけ聞くとごく普通な感じですが、襟尾君の顔芸と、津詰警部のツッコミ芸により、他の追随を許さないほど濃いコンビになりました。この2人大好きです。いつまでも見ていられます。ずっと仲良しでいて欲しい。
余談ですが、町で太陽を調べると襟尾君に「虫眼鏡で太陽を見てはいけないって学校で習ったでしょう、ボス!」と注意される、という小ネタをプロデューサーが怒られるのを覚悟で仕込もうと思っていましたが、今作の背景はぜんぶ曇り空だったので結局断念して、怒られずに済みました。
襟尾とバディを組むベテラン刑事、津詰。心霊対策室に所属していた。初期デザインには口ヒゲも!
爽やかなイケメン刑事、襟尾 純。物語の途中で髪型が変わるというアイデアがあったときのデザイン。
陰陽女子高生コンビ 黒鈴 ミヲ & 逆崎 約子(17)
石山 超常現象に立ち向かえる若者として、陰気な霊感少女と陽気な江戸っ子少女というコンビで考えました。陰と陽のペアなので、陰陽道的に強いです。この2人で各地の学校を除霊して回るスピンオフシリーズを作れそうなくらいに強いですね。
約子ちゃんの名前は、ニックネームで「やっこ」という呼び方はあるけど、それがそのまま本名だとおもしろい響きになるかなーと思って付けた、以前にボツになったプロジェクトのキャラクター名から復活させたものです。リサイクルです。エコですね。
エコと言えば、ミヲちゃんの名前は古賀新一先生の名作コミック「エコエコアザラク」のヒロイン「黒井ミサ」のインスパイアです。別に魔女ではないですけども。ちなみに彼女の髪留めは魔除けになっています。
逆崎 約子は駒形高校2年C組の女子高生。幼なじみの怪死を独自に調査していた。
石山さんによるはみだしキャラ語り!
▶︎興家 彰吾
石山 最初にプレイヤーの視点になる「ニュートラルな青年」としてデザインされました。
「置いてけ堀」の呪いを受けるキャラなので、最初はわかりやすく仮で「置家」と名付けていたのですが、結局そのまま漢字だけ変えて残りました。名前がネタバレです。
最初に試験実装されたキャラクターで、開発初期の各種挙動や仕様の確認は全部彼を使って行われていたので、何体もの興家彰吾同士で会話するシーンが作られたりして、なんともカオスでした。
▶︎なめどり(捜索時に発見できるお宝ステッカー)
石山 なんとも斬新で画期的なキャラクターですので、商品化も待ったなしですね! わたしの推しどりは「関聖院イン子」ちゃんです。彼女の仕草がじつにキュートでたまりません。あなたの推しどりはどれですか?
そのほかのキャラクターの設定画はニンテンドードリーム2023年7月号に掲載されていますので、チェックしてみてくださいね。
<関連リンク>
▶︎パラノマサイト FILE 23 本所七不思議 公式サイト
<商品概要>
対応機種:Nintendo Switchほか
発売日:2023年3月9日(木)
価格:ダウンロード版のみ:1,980円(税込)
必要容量:753.0MB
ジャンル:ホラーミステリーADV
CERO:17歳以上対象
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