ソニック生誕25周年記念 ソニックチーム座談会 後編(2016年12月号より)
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どうしてシャドウは1度主役になったの?
飯塚 シャドウの初登場は『ソニックアドベンチャー2』で、実はそのタイトルのためだけに生まれたキャラだったんですが、あまりにも反響が大きくて『ソニックヒーローズ』で再登場しました。一方そのころのアメリカでは、ガン(銃)を使ったFPSですとか、シューティングアクションが流行っていたんですね。ソニックは銃を扱うようなキャラではないですが、シャドウならソニックにはできない新たなジャンルに挑戦できるのではと思ったわけです。とことんダークでカッコいいヒーローを作ろうと、企画が始まりました。
ファンの反応も背中を押した『シャドウ・ザ・ヘッジホッグ』
2005年にゲームキューブほかで発売された、ソニックのライバル・シャドウが主人公の外伝的3Dアクション。派手で爽快感のあるプレイを楽しめるだけでなく、シャドウのとった行動によって属性がヒーローかダークに傾き、エンディングが変化するシステムを搭載。
「正義」と「悪」が入り乱れる混沌の世界を、多数の武器とアクションで吹き飛ばす!!
イベント会場でのユニークな出来事!?
瀬上 ファンとコミュニケーションをとると、いろんなことに驚かされますよね。たとえば、私のギターを真似て「自作しました!」とイベントに持ってきてくれて、ギター自体にサインをお願いされたこともあります。
瀬上さんは国内のショウでも、終演後にサイン会を積極的に行っている
飯塚 ソフトやサウンドトラックなどにサインをする機会は多いですが、ギターというのが瀬上らしいですね。
瀬上 あと「驚かされた」、という意味では2014年にメキシコで行った2日間のコンサートでの出来事がありまして。
大谷 それはCrush40(※7)の?
瀬上 そう。大きなコンベンションでライブをしたあとにサイン会を2時間半行うということを2日間やったんです。1日目のサイン会で「ここにサインしてくれ!」と腕にサインを求める青年のファンがいたんですね。そうしたら、2日目のサイン会の時にも彼が現れて、「また来てくれたの?」と声をかけたら、「昨日のやつ、タトゥー彫ったぜ!」って彫りたての真っ赤な腕を見せてきて(笑)。
大谷 早っ!!
上川 すごい。
飯塚 タトゥーになっちゃったの!?
瀬上 私はいつもサインには年号を入れるんですけど、サインのマジックが太かったので「2014」の文字がちょっといい加減になってしまったものも、そのまま彫られていて。
大谷 すぐに見せたかったんでしょうね。その熱量がすごいです。
上川 海外だと、ソニックのタトゥーは多いですよね。
瀬上 「Crush40」とタトゥーを彫ったファンにはイギリスで会ったことがありましたが、その彼のインパクトもすごかった。
大谷 サイン会の話だと、僕や瀬上さんは、3枚組のサウンドトラックCDをいくつか出しているんですが、ある6月のバースデーイベントにそのCDを持ってきてくれた方がいて、「サインしてください!」とお願いされたので、DISC1の盤面にサインしたんです。そうしたら、9月の東京ゲームショウで、今度は「DISC2にサインお願いします!」と。で、12月のファン感謝祭にも来てくれて、最後となるDISC3についにサインをしたんです。その方は、まるでサイン帳のように3枚組のサウンドトラックCDを使っていたんです!!(笑)
飯塚 それは面白いね!
瀬上 大谷は東京ゲームショウなどでは、Twitterを使って「オオタニッターを探せ」とかで自分がいる時間帯や場所をつぶやくことをやっているよね。ファンと会える機会を大谷自ら増やしているからこそ、その楽しみ方ができているとも言えるかも。
東京ジョイポリスでは、毎年恒例のバースデーイベントや、5年毎には「アニバーサリーパーティ」などを開催。開発陣のみなさんもかけつけファンと交流する
※7 Crush40
ギタリストとしても活躍する瀬上さんと、ヴォーカリストのジョニー・ジョエリさんによる、ハードロックバンド
「好きでいてよかった!」と思ってもらえるものを
飯塚 私もファンに驚かされた、というか印象深いエピソードがあります。5年前にフランスのイベントでサイン会をやった時のことなんですけど、「ソニックを楽しく遊んでいます」と声をかけてくれたのが、目の見えない方だったんです。お話をさらに聞くと、『ソニック』は右に進んでいればよいゲームで、リングで「チャリン、チャリン」と音が鳴るから目が見えなくてもプレイできるんだ、と。「これからも、『ソニック』を作り続けてください」と言われた時は、目の見えない方にまで『ソニック』というゲームを遊んでもらえているんだと本当に驚きました。
大谷 確かに、画面を見ないでも効果音を聴けば、いまステージで何が起こっているかはわかりますもんね。「チャリン、チャリン」と鳴ればリングを獲得、「ボイーン」と鳴ればスプリングでジャンプ、「バシューン」でダッシュパネルを通過とか…。
飯塚 ね。ステージにあるリングが道筋となっている意味合いも含んでいますから。たとえばジャンプをしてみて「チャリン 、チャリン」と鳴れば、自分は新しい場所に行けたという認識になるんですね。
上川 ファンアートなどもたくさんいただくのですが、日本のイベントで、イギリスから来たファンの方から作品をいただいたことがありました。これがまた、私が描いている絵を模写したかのようなタッチで、とにかく再現性が高くて、とても驚きました。
瀬上 似てる、という次元ではないですよね。もう、「上川さんになりたくてしょうがない」という気迫のある感じが伝わってくるような。
上川 自分で見ても、「こんなの描いたっけ、自分?」と思うぐらいに、本当にもうそっくり。
瀬上 構図からポージングまで研究しているんでしょうね。人生的なところに関わった、という話でいくと、私のライブ会場で出会って結婚したという日本のファンもいました。「自分たちはソニック婚なんです」と、ソニックとエミーのぬいぐるみを持ち込んで挙式をした話を聞かせてもらったことがあったりとか。
大谷 何度もイベントに足を運んでくれている方のなかには、途中から赤ちゃんを連れてきている方もいますし、大学受験の際、『ソニック』の音楽を聴いて前向きな気持ちになり、第一志望に合格できたと伝えてくれた方もいたり、憧れていたゲーム業界で働くことになったと報告してくれた方もいたりと、みなさんの人生の歩みの傍らに『ソニック』がいたのが本当にうれしいことですね。僕もみなさんのそういったお声を聞くと励みになるので、近況とか出来事を聞かせてもらえるのはいいですよね。
飯塚 そうですよね。『ソニック』はこの25年の間、毎年何かしらのゲームを出し続けています。これは、支えてくれたお客さんがいてくれたおかげですし、私たちがそこに向けて制作できる関係性が続いての25周年目であって、重みのある、とても喜ばしいことだと思います。ずっと応援していただいているファン、そして今日『ソニック』に興味を持った方も、みなさんで楽しんでいただければ嬉しいですね。
ソニック生誕25周年記念 ソニックチーム座談会 前編
関連リンク
ソニックチャンネル(ソニックシリーズポータルサイト)
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