スリッピーは子供の頃オタマジャクシだった! 『スターフォックス』シリーズの世界観を開発者に直撃!
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2023年2月21日で、祝シリーズ30周年! ということで、ニンドリ2011年9月号で掲載された『スターフォックス64 3D』の開発者インタビューと本誌連載「ライラットタイムズ」にて開発陣より語られた“シリーズ全体の世界観について”の一問一答を再掲載します。かなーりマニアックな内容になっていますが、おめでたいので気にしません(笑)。
※2011年当時の設定になりますので、現在は変わっている可能性があります。その点はご了承ください。
“シリーズ全体の世界観について”一問一答を再録
回答者(『スターフォックス64 3D』開発当時)
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(右から)今村孝矢:シリーズのキャラクターの生みの親。『64 3D』にはスーパーバイザーとして関わる。ディラン・カスバート:株式会社キュー・ゲームス代表取締役。1作目『スターフォックス』や『コマンド』制作に関わる。天野裕介:キュー・ゲームスとのやりとりや、任天堂側のメインプランナーとして開発のさまざまなことを担当。前田和志:社内スタッフをしきり、ディランさんの意図をチームに伝えていく役目。『スターフォックス』シリーズに関わるのは『コマンド』以来2作目。
アンドルフに名字はあるの?
今村 アンドルフに名字はないです。(ちょっと考えて力強く)なしにします!
一同 (笑)
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ライラット星系の恒星ライラットはどこに?
今村 たぶん、太陽のようにあるんです。ゲームだとソーラが恒星のように見えますが、あれは惑星なんで。
天野 ゲーム中はソーラを中心に惑星が回っていますけど、あれはあくまでゲームの仕組みですから(笑)。…でも実は今回、1回だけ恒星ソーラに変えたときもありました。
—— えー(笑)
今村 でもやっぱり無理があるし、おかしいなと。なので、恒星ライラットはどこかにあるんですよ。きっと画面外のどこかにあるんです。
—— (前田さんに向けて)変わらないで良かったですね。恒星ソーラになったら、当時のファン(前田さんはN64版のファン)としてはいろいろと思うところがありますよね。
前田 まぁ一回、そうなりましたけど。
一同 (笑)
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惑星パペトゥーンはどこにある?
今村 パペトゥーンは別の太陽系にあります。だからライラット系ではないんですよ。
—— そうなんですか!
今村 うん。コーネリアから一万光年離れた比較的近いところにあります。
—— でも、コーネリアの宇宙アカデミーがあるのはパペトゥーンですよね。ずいぶん離れたところに学校がありますね。
今村 ほら、ワープできるんで。
一同 (笑)
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スリッピーは子供の頃からカエルなの?
今村 最初に生まれて1か月くらいはオタマジャクシでしたよ。
一同 (笑)
—— 『コマンド』のとき、赤ちゃんがすでにカエルでしたけど。
今村 そう、あれはもう1か月過ぎてるの(笑)。でも、生まれたときはオタマジャクシ。
—— だいぶ衝撃的な話ですけども。
前田 そうだったんだ!って感じですね(笑)。
※スリッピーの子供の頃の話はこちらのマンガもご覧ください(笑)
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フォックスとファルコはどうやって出会ったの?
今村 フォックスはきっと凄腕のパイロット、ファルコの存在を噂で聞いていたんだと思います。それで、スターフォックスを立ち上げるときに、何回もファルコのもとに出向いて「一緒にやらねえか」って勧誘したんでしょう。
—— 三国志の三顧の礼みたいですね。
今村 ようするに『64』ってフォックスの成長物語なんですよね。彼は若くしてリーダーになるわけですけど、やっぱり不安だから経験のある相棒を探していたわけです。そして、物語の中で少しずつ成長していき、最後に初めてファルコから「リーダー」と呼ばれるわけですから。
—— これで宇宙暴走族のヘッドと宇宙アカデミーの生徒との出会いがわかりました。
天野 でもたしかフォックスって、宇宙アカデミー中退でしたよね。
—— そうですね。だから中退してから勧誘したことになりますね。ちなみに中退の理由って何なんですか?
今村 それはもちろん、お父さんが亡くなったからです。
—— やっぱりそうなんですね。そしてスリッピーもそこに巻き込まれたと。
今村 そうです。スリッピーは、もともとフォックスと仲よしで彼について回るタイプなんでしょう。
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やとわれ遊撃隊はふだんどんな仕事をしているんですか?
今村 スターウルフのように、仕事を選ばずクライアントに頼まれたことだけをやる。それこそ殺し屋じゃないですが、それが本当の傭兵だとは思うんです。でも、フォックスはやとわれ遊撃隊といいながら、とても葛藤があるんですね。明らかに悪事に加担するようなことは絶対にしないし。といったところで、仕事を選んでいるために、だんだん仕事が減っていくという(笑)。
—— もしかしたら、ふだんは配達業みたいなこともしてるのかもしれませんね。
天野 でも、それじゃグレートフォックスの借金は返せない(笑)。
今村 返せないねえ(笑)。
—— そのグレートフォックスはいつ出来たんでしょうか。
今村 たぶん、ジェームズが完成した後にそのまま買ったんですよ。
—— ということは、初代スターフォックスの母艦でもあったんですね。ベノムにも出撃したんでしょうか?
今村 たぶん行ってたんじゃないですかね。グレートフォックスに乗って行ったんだと思います。
—— じゃあ、もうナウスもいたんですね。
今村 いましたよ。
フォックスに母親はいますか?
今村 母親はいるんですけど、フォックスが父親の後を継いで遊撃隊をやるとなったとき、彼女はそれに反対したんです。だから、それからは絶縁とまではいかないけど、疎遠になっている状態ですね。
天野 (今村さんの方を向いて)パペトゥーンにいるんですよね?
今村 うん。息子の活躍を陰ながら応援しているんじゃないかなと。
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どうしてピグマは初代スターフォックスに入ったの?
今村 どうやってジェームズが事件に巻き込まれたとか、そういった初代スターフォックスのエピソードについては、まだ言わないでおこうと思っています。なぜなら、もしやるんだったらそこはゲームとして作って出したいので。
—— おおおお!
今村 って思ってるだけだよ。
一同 (笑)
今村 ほら、あんまりここで話しちゃうと、もし本当にそうなったらやりづらくなっちゃうでしょ(笑)。
『スターフォックス』シリーズは今後どうなっていく?
今村 任天堂のゲームの作り方って、お話のためにゲームを作るわけではないんです。何かゲームの根幹になる面白いアイデアがあって、それが『スターフォックス』に向いているモノだったとしたら、そこで初めて物語が必要になってくるわけです。そのときにジェームズの話にしようとか、もしかしたら『スターフォックス』という名前だけ残して、ずっと未来の別の主人公の話でもいいと思うんです。
—— たしかに、これだけシリーズが発売されていますけど、『スターフォックス』って同じゲームシステムのものはないですよね。
今村 そうです。なぜなら、例えば3Dシューティングとしての仕組みは、『64』である意味完成しているんです。でも、せっかく『64』でキャラクターが立ったから、もう少しキャラクターを操作する遊びはどうだろうと、『アドベンチャー』への流れにつながっていったりしたんですよ。
ディラン 宮本さんも「『スターフォックス』は決まった遊びではなく、新しい遊び方を目指すための世界」とよくいっています。
—— なるほど。『スターフォックス』を使って新しい遊びに挑戦していくと。
ディラン うん。発売はされなかったけど、『2』を作っているときも、3D空間のあり方とか、本当にいろいろなことを実験したんです(後にニンテンドークラシックミニ スーパーファミコンに収録)。それは『コマンド』のときもそうだったし、このシリーズ独自のモノでとても面白いんです。ほら、ほかのシリーズって、少しだけ新しい要素を入れて同じモノを作っていくじゃないですか。でも、『スターフォックス』は『アドベンチャー』も『アサルト』もシステムが全然違いますから。
天野 だから、もしかしたら次は恋愛ゲームになるかもしれません。
一同 (笑)
ディラン でも、それ面白いよ。
今村 チンクルでさえ恋愛ゲームになったしね(笑)。
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まだまだ続きます!