主要人物の設定画も公開!『都市伝説解体センター』キャラクター誕生秘話(キャラかみ 2025年4月号より)

ゲームに“キャラクター”という形で命を吹き込んでくれる絵描きさんに、そこに込めた思いを訊く本コーナー。今回は『都市伝説解体センター』のグラフィック全般を手がけたお2人、ハフハフ・おでーんさんときっきゃわーさんの登場です。
(ニンテンドードリーム2025年4月号掲載)
ハフハフ・おでーんさん、きっきゃわーさんへインタビュー

ハフハフ・おでーんさん
墓場文庫所属のグラフィッカー/デザイナー。『和階堂真の事件簿』シリーズ、『World for Two』などでドット絵を担当。『都市伝説解体センター』ではきっきゃわー氏と共同でキャラクター原案のほか、絵コンテ制作・ドット絵起こし・アニメーション制作などを手がける。


きっきゃわーさん
墓場文庫所属のイラストレーター/シナリオライター。『和階堂真の事件簿』シリーズにてシナリオを手がけたほか、さまざまなインディーゲームのイラストを担当。本作ではシナリオやキャラクターデザインのほか、ムービーシーンの下絵などを手がける。

▼開発者インタビューはこちらをご覧ください

イラストを描くようになったキッカケは?
おでーん キッカケという大きなイベントがあったわけではなく、ゲームを作るというなかで、ゲームの素材としてドットを描いていったのが最初です。なので、やりたいことがあってそれを達成するために描きはじめたのがスタートです。
きっきゃわー 物心ついたころから描いていたので細かくは思い出せないのですが、とにかくたくさん描いていました。人間の筋肉のつき方を学ぶためにひたすら描いていたり…。そこから、自分がやっていたお芝居のチラシだったり、ゲームだったりを作るうえでイラストを描くようになったのが、商業的なスタートでした。
共同でのキャラクター作りの魅力は?
おでーん 自分ひとりでは出てこないところが圧倒的な強みだと思います。また、当たり前ですが進行するうえでも共同のほうが早いですね。
きっきゃわー 最終的にドット絵になるからこそ、自分が作ったキャラクターがひとり歩きする工程があるので、それがすごくおもしろかったです。でも、ハフハフ・おでーんはすごくて、わたしが目尻をどうしてやろう、鼻の角度をどうしてやろう、みたいに考えながら作ったキャラクターが、ドットを1個ずらすだけで絶妙なバランスで再現されるのを間近で見ていて感動していました。
ドット表現になる際に意識していることは?
おでーん 最終的にドット絵に落とし込んでいくということは、ドットだとディテールを描き込むのは結構難しいので、描ききれない部分も出てくるんです。でも、きっきゃわーには「ドット絵に落とし込むことは考えずに描いてほしい」と伝えていて、そこから取捨選択を僕がする、という方法を取っていました。
きっきゃわー 世の中のキャラクターって装飾だったり髪型だったり、瞳のなかの造形とかが複雑なことが多いですが、今回は最終的にドット絵になるということで、そういう複雑さに対してはそこまで気にしないでよかったというのは、ほかのキャラクターデザインとは異なる点だったと思います。でも、それを気にしない代わりに、もっとひとりひとり、年齢や骨格、顔面の大まかなパーツ…鼻が上向きとか下向きとか…そういうところで個性がしっかり出せるように描いていました。
都市伝説解体センター 設定画
▼廻屋渉

おでーん 最初の企画書のタイミングですでに「廻屋渉」というキャラクターは出来上がっていました。衣装を少し変えて、ネックレスを着けたくらいです。彼をベースに作品の雰囲気が決まっていったんじゃないかなと思います。
きっきゃわー 企画段階でなぜ廻屋くんになったかはあまり覚えていないのですが、胡散臭さみたいなのはほしかったので、下瞼をどろん、とした感じにしたのは覚えています。
▼福来あざみ

おでーん ビジュアルが一度変わっているキャラクターで、最初はきつい目をしていました。ほんわかした感じのキャラになってからはわりとすぐに決まっていきました。
きっきゃわー 廻屋渉という万能でなんでも知っている、分かっているキャラクターと比較して、福来あざみというなにも知らない、分からないキャラクターです。彼女の天然でちょっとおばかな雰囲気を印象付けるため、とにかくトゲはすべて取り除いて、丸く丸く玉のようなお顔にしています。
▼止木休美(ジャスミン)

おでーん プレイヤーである福来あざみと廻屋渉が対照的なキャラクターなのに対して、さらに福来あざみに対して違った対称性があるのがジャスミンです。元気なあざみちゃんに対していつも気怠そうなジャスミン。でも代わりに、世間に対する経験は豊富。
きっきゃわー あと、あざみちゃんが黒髪なのに対して、金髪なのも対称性がありますね。服装もゴスロリのあざみちゃんに対して、作業着みたいなジャンプスーツで。このキャラクター性がほどよく廻屋くんとあざみちゃんの橋渡し役になっていると思います。バランスを取ってくれるキャラクターです。
お気に入りのサブキャラクターは?
おでーん 『都市伝説解体センター』では、主要キャラクター以外も全員個性的なキャラクターにして、モブっぽいキャラクターはなくそうというコンセプトでキャラクターデザインをしていたこともあり、全員魅力的なものに仕上がっていると思っています。そのなかで、僕が一番好きなのは「富入順蔵」です。主要の3人以外だと、僕的には彼が一番かっこいいキャラクターだと思っています。
きっきゃわー モブモブしいキャラクターを作らないように、そしてひとりひとり癖があって「こいつ怪しい!」と思ってもらえるキャラクターをいろいろ描きまくっていたなかで、一番愛着が湧いたのが「谷原きのこ」でした。彼の表情パターンはどのキャラよりも多かったかもしれません。1話からの重々しい空気を壊してくれたのは彼のキャラクター性です。


キービジュアルについて

本当はキービジュアルとして使うつもりがなかったのですが、ゲームを象徴するものだということで強い意向もありそのままになりました。
また、次のキービジュアルは特装版にあわせたもので、解体ポーズと特定ポーズをした手、壊れた天眼錠にイルミナカード、そして、怪異を表す赤いラインが入っていて、『都市伝説解体センター』に登場する要素を多く入れたものになっています。
きっきゃわー 注目してほしいポイント…は難しいのですが、ゲームをクリアしたうえで改めてメインビジュアルを見るとより楽しんでいただけると思うので、ぜひゲームをプレイして、もしくは実況配信などで見ていただけるとうれしいです!
キャラクター作りで一番大事だと思うことは?
おでーん 特徴的なキャラクターにすること。パッと見てほかとかぶらないようにするのが一番大事にしていることだと思います。
きっきゃわー 作品にもよるのですが、今回でいうとキャラクターがバストアップで動くというのがあったので、とくに表情は大事にしていました。すでに一部の方々から廻屋くんの流し目にいい反応をいただいているのですが、そういう表情ひとつとってもとても大事に作り上げていっていたので、反応していただいてうれしいです!
1.人生で初めて描いたイラストは?
おでーん 子供のころなので、動物。ゾウの口まわりを描くのが好きでした。キャラクターだと、「パタリロ!」の「ジャック・バルバロッサ・バンコラン」です。描くとまわりがウケてくれるのでずっと描いていました。
きっきゃわー わたしも動物ですかね…! 馬とか。馬の胸筋まわりが好きで、ひたすらそればかり描いていた時期がありました。キャラクターだと、天野喜孝先生(※1)と鳥山明先生
(※2)を真似して描いていたのが最初だと思います。
2.好きなイラストレーター・マンガ家さんは?
おでーん 「ヘルボーイ」というアメコミを描いているマイク・ミニョーラ先生(※3)がめちゃくちゃ好きです。影の部分をがつっと黒にして特徴付ける方で、デフォルメの大胆さも大好きです。
きっきゃわー 難しいですが、いまは「ダンジョン飯」を描いている九井諒子先生(※4)にはまっています。情報を絵にするのがとてもうまい方で、複雑なことを複雑なままにせずに分かりやすく描く天才。「ダンジョン飯」は漫画としてはもちろんですが、資料的な見方をさせていただいています!
3.好きなキャラクターは?
おでーん やっぱり「ヘルボーイ」ですね。あまり日本人が好むキャラクターではないかもしれませんが…。下あごががっつりしていて、悪魔で、おじさん体型で。でもシリアスで、そのなかに悲哀があり、コミカルな感じもありノいろんな要素が集まっているキャラクターで僕は大好きです。
きっきゃわー 「スタジオジブリ」の「紅の豚」に出てくるおじさんたちが大好きで…(笑)。あの二大おじさん(「ドナルド・カーチス」とマンマユート団のリーダー「マンマユート・ボス」)のどちらがいいかと聞かれると悩むのですが…僅差で「ドナルド・カーチス」が一番ですかね!
4.今まで遊んだ中で一番好きなゲームは?
おでーん 『ファイヤープロレスリング』:自分の好きなプロレスラーを作れて、技を決めたら、観戦モードで戦って見られるというのがとてもよかったです。エディット要素があるゲームが好きなので、一番好きで一番遊んだのがこの作品ですね。
きっきゃわー 『ファイナルファンタジータクティクス』:1マス1マス動かして、すこしでも進行度合いをミスると簡単に殺されてゲームオーバーになってしまういわゆる「戦略ゲーム」で、緊張のバランスもとてもよかったです。気が付けば、時間がどんどん溶けて、ずっとプレイしてしまいます…!
6.この仕事をしていなかったら今現在どんな仕事をしていたと思う?
おでーん 僕はもともとWebデザイナーの仕事をしていてその延長でゲームを作りはじめた感じなので、おそらくそのままWebデザイナーの仕事をしていたと思います。
きっきゃわー わたしは”生きるの下手くそ人間”なので、いろんなバイトを転々としまくっていました。なので、相変わらずどこかでバイトをしていたと思います!
※1:画家、イラストレーター。長年にわたり『ファイナルファンタジー』シリーズのキャラクターデザインやイメージイラスト等を手がける。
※2:漫画家、デザイナー。代表作の漫画「Dr.スランプ」「ドラゴンボール」のほか、ゲーム『ドラゴンクエスト』シリーズや『クロノ・トリガー』などではキャラクターデザインも手がけた。
※3:アメリカの漫画家。代表作である「ヘルボーイ」シリーズは真紅の全身に角や尻尾を持つ主人公ヘルボーイが、超常現象調査局のエージェントとして各地のモンスターたちと戦う物語。
※4:漫画家。代表作「ダンジョン飯」は初の長編連載作品で、スライムやバジリスクといった魔物たちをさまざまな方法で調理し、食料としながらダンジョンを踏破していくというストーリー
ニンテンドードリーム5月号は『都市伝説解体センター』総力特集!
廻屋渉の表紙が目印のニンドリ2025年5月号。
ゲームを手がけた墓場文庫の開発チーム4名&「奇々解体」の作詞作曲家・シンガーの方へ総力インタビューを実施!
各話ごとのサブキャラクターの設定画なども掲載されていますので、こちらもぜひチェックしてください。

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<商品概要>

発売日:2025年2月13日(木)
対応ハード:Nintendo Switch / PlayStation 5 / Steam
価格:パッケージ版 3,740円(税込)/ ダウンロード版 1,980円(税込)
ジャンル:怪異を解き明かすミステリーアドベンチャー
CERO:15歳以上
プレイ人数:1人
▶︎公式サイト
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