明かされた地底に圧倒される!『ゼルダの伝説 ティアーズ オブ ザ キングダム』ゾナウ文明の魅力に地底から迫る
空、大地のほかに「地底」が存在!なぜそんなに地底に魅せられるのか。地底探索の魅力とは!?
前作『ブレス オブ ザ ワイルド』(以下『BotW』)から古代文明「ゾナウ」が気になって仕方ない、そんな視点から遊び始めた『ゼルダの伝説 ティアーズ オブ ザ キングダム』(以下『TotK』)の、地底探索を中心としたレビューをお届けします。
※この記事はネタバレを含みます
空・地上・地底……過去要素を全部のせ!?
ライターのみかめです。前作『BotW』ではアッカレ砦やハテノ砦やハイラル城を練り歩き、その構造について考えたり、ゾナウ文明の遺構分布地を巡りまとめたりしていました。
歴史好きの考察欲求に応えてくれた『BotW』。『TotK』も寝る間を惜しみプレイしながらゾナウ文明について思いを馳せる日々です。
本作はとにかく想像の倍以上のボリュームに圧倒され、現時点ではまったく先が見えません。「前作でハイラル全土旅したはずだよな。天変地異が起こったとはいえ、リンクの能力の変化だけでこんなにも新鮮な気持ちでプレイできる!?」と驚きっぱなし。しかも空島だけでなく地底があることが明かされて、それが地上と同じように広がっていると判明。盛り込みすぎじゃありません!?
各地方の異変調査で語られる「封印戦争」という言葉から、『神々のトライフォース』を連想する人も多いのではないかと思います。(公式サイト「開発者に訊きました : ゼルダの伝説 ティアーズ オブ ザ キングダム」でも言及されています)
『神々のトライフォース』といえば「闇の世界」との往復。『トワイライトプリンセス』にも影の世界があります。
発売前は空島の情報がメインだったので、『スカイウォードソード』っぽい雰囲気なのかなと思っていただけに、地底の存在は青天の霹靂でした。
でも表裏一体の世界があるのはゼルダらしい要素だな、なんて改めて思ったり。
なぜ一度プレイしたハイラルが全く別のものに見えるのか
ゼルダシリーズには「続編」となる物語がいくつかあります。
たとえば『夢をみる島』はまったく別のフィールドが用意されました。『ムジュラの仮面』や『夢幻の砂時計』もそうですね。『神々のトライフォース2』は同じハイラルですが前作の発売から22年ぶりの続編ということで忘れていた地形を思い出しながらのプレイとなりました。
そして『TotK』。前作から6年経っているとはいえ、その衝撃は鮮明に刻まれたまま。それなのに一度遊んだはずのハイラルが全く別のものに見えるから不思議です。
もっとも、アプローチが異なります。『BotW』は記憶を失ったリンクとプレイヤーがシンクロし、知らないハイラルを冒険する。
『TotK』は世界に起こった異変を、地形を知っているリンクとプレイヤーが一緒に確認しに行く。今作は「与えられたフィールドで新たな驚きと発見を見つけに行く」というアプローチが試みられています。
おそらく天変地異がなくたって変化したハイラルがまったく別のものに見えるはず。だって現実でもそうじゃないですか。地元を5年も離れればまったく別の街のようになる。東京だってここ5年で随分と変わってしまった。そういう発見にプラスして天変地異による地形の変化、洞窟と井戸の追加、空島の追加、極め付けは地底があるのだから、まったく新しい冒険になるのは明白なのです!
演出のためのオブジェクトではなかったゾナウ遺跡群
という前置きはさておき、筆者的には興味の対象だった砦や城や遺跡群について、その変化をこの目で確かめたいという目標がありました。しかし……ゾナウ調査隊よろしく地上のゾナウ遺跡を調査しに行こうと足を進めたところ、思わぬ伏兵が待ち受けていました。そう、地底です。
「空島と地上を行ったり来たりしつつ、前作で確認できたゾナウの遺構に向かおう」
そう思って進めたところ、早々に地底に出会ってしまった筆者は、ただひたすら地底を探索するプレイスタイルに固定されてしまいました。
足元に広大なゾナウの遺構が眠っていたなんて。これは何がなんでも調査しなければならない。こうしてリンクの地底調査生活が始まったのです。
ゾナウ探検隊リンクが行く! 地底探索の「底知れぬ」魅力
ハイラルの地下に眠るゾナウの遺構。ジョシュアちゃんのサブチャレンジでとりあえず入りすぐに戻った方も多いことでしょう。しかし筆者は石像の報告をそっちのけで資材が尽きるまで延々と探索し続けました。ハートの少ない序盤はキツい、ゼルダあるあるですがそれならば地底の地上も変わりませんし、瘴気でハートの最大値が減っても最初から少ないから大丈夫くらいの気持ちでいたのです。だってこんなにも広大な新しいマップが用意されていたら行かざるを得ません!
探索には事前準備と綿密な計画、そして時には引く勇気も大切。正直甘かった。暗い、怖い、つらい……地上以上に過酷な冒険が待ち受けており、ゲームオーバーをいたずらに積み重ね続けることに。それでもやはり新たな遺跡に出会えた時の感動はひとしおでした。
空島のゴーレムが言っていたように、地底にはゾナニウムを産出するための採掘場があちこちにあり、鉱床もたくさんあります。敵を倒すとゾナニウムが手に入ることも。食材は手に入らないけどコンラン花やバクダン花がたくさん手に入り、それで魔物を倒すことができます。ゾナウギアもあちこちに置いてあり、まだゾナウギア製造機で出していないものに出会うこともあります。どう使えばわからない時はイーガ団の拠点を襲えば使い方のサンプルがある。発見とひらめきが盛りだくさん。楽しい、とにかく楽しい!
地上ではリンクを知る者も増え人々との交流も大事な要素ではありますが、誰もいない地底で孤独な戦いに明け暮れるのも乙なものです。深淵を覗く時、深淵もまたうんぬん……じゃないですが、地底探索に魅入られし者はその暗闇の中に己の心が真に欲するものを見出すのでしょう。
知らない土地を見て回りたい、出会った遺構について誰の邪魔もされずに黙々と考えたい。そんな筆者の欲求に地底は応えてくれました。
地底探索にはメリットもあります。前述の通り素材が取れることだけでなく、天候や昼夜の変化に左右されない点も自分には合っていました。雨で壁が滑ることがなければ、雷で使う武器を制限されることもありません。
自然の変化に囚われることなくただひたすら目の前の謎に向き合えます。寝食を忘れて目の前の作業に没頭しちゃう系の人にとって地底はパラダイスです。
しかし地底だけ探索してもゾナウ文明の本質には触れられません。そもそも地底は古代人が掘り進めたのか、それとも最初から広い空間があって、ゾナウエネルギーが取れるからゾナウギアが作られたのか……!? 空や地上との関係は? ゴーレム以外の人物はいた? ゴロン族やゾーラ族の像などの各種族をモチーフにした像があるけどこれらはどんな意図があるの? 漂う「ポゥ」はどこから来たの? 地上と連動した施設があるのはなぜ? 魔人は一体何者なの?
……それらの疑問は地底にいるだけでは解決せず、空島を巡り、地上を探索し、その断片から徐々に紐解いていくのです。
前述の通り、今作は「世界に起こった異変を、地形を知っているリンクとプレイヤーが一緒に確認しに行く」ことが目的なので、地上に起こった異変を解決しなければ謎の核心には迫れないのです。
食材も手に入らないので要注意ですね。瘴気で減ったハートを回復させるヒダマリ草の料理や、自分を発光させられる薬はやがて尽きます。アカリバナの種も無限ではありません。それらは空島でたくさん採れるので、地底の探索には空島と地上の探索も必要不可欠です。
また、地底探索中に地上の地図を表示させることもできるので、地上の地図を把握していると自分が今どの辺の地底を進んでいるのかもわかって便利です。「地上ではこうなのに、地底ではこうだぞ」と発見するたびにワクワクが止まりません。本作は前作未プレイでも楽しめますが、知っているからこその発見もあるのです。
地上のゾナウ遺跡群の変化
もちろん地上のゾナウ遺跡にも向かいました。
まずゾナウといえばフィローネ地方のゾナウ遺跡群! リザルフォスの住処にされていることぐらいで地形的な変化は見られませんでしたが(勇気の泉の前からリザルフォスがいなくなったくらい)、勇気の泉の女神像はなにやらお嘆きの様子。
女神像に頼まれて彼女らの総本山、「忘れ去られた神殿」に向かったところ、大量のガーディアンがいなくなっているではないですか。そして奥に鎮座していた巨大女神像が倒れていました。
「これが倒れるなんてどんな力だよ!」と、「謎の力」に思いを馳せながらその背後の扉を見たら、始まりの空島にあった扉と酷似したものがあり、何者かによって開かれた跡が。「隠された遺構」にゾクゾクしつつ扉の先に行くと、ハイラルを縮小した模型に地上絵の位置が記されていました。「探してほしい」という意思が働いたのか、それとも本来は秘匿とされるものが強大な力で暴かれてしまったのか……
また、地底の「暗闇」と「ゾナウ」から真っ先に思い出したのはドイブラン遺跡。遠路はるばる向かったところ、真っ暗な空間はすっかり晴れていて鳥望台が置かれていました。あの迷路がこういう形をしていたのか! と驚くと同時に、あの暗闇は古代シーカー族試練のために作り出した空間だったのだろうかと疑問がわいてきました。
迷路の全貌は見えたけど謎は解けません。謎の遺跡といえばローメイ遺跡も忘れてはいけませんね。南ローメイ遺跡に向かったところ、瘴気に汚染されている上に深穴まであり、地底との繋がりが濃厚です。しかも迷宮は空にまで広がっており、やはり一筋縄ではいきません。
パズルのピースが立体的にはまっていく感覚
『BotW』で「謎だな」と思っていたものがどのような力で造られたのかがわかると同時に、なぜこれを造ったのかという新たな謎へと繋がっていく。『BotW』では地上だけだったからわからなかったことが、上へ下へと立体的に探索することで理解が深まっていく。そしてメインチャレンジとサブチャレンジをこなすことで多角的にハイラルに起こった出来事とこれから起こる出来事を理解していく。
「時」という概念も加わり、いくつもの次元から情報が迫ってくる。それを順番に摂取するのではなく、気の向くまま、自分の足で稼ぎに行く。筆者にとって本作は歴史好きの探求心も満たしてくれるゲームであると再認識させられました。
現時点では全ての謎は解明されておらず、まだまだ冒険も考察も続いていきます。
皆さんもプレイの途中にちょっと足を止めて、残された遺構の数々に思いを馳せて見てはいかがでしょうか?
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<商品概要>
対応機種:Nintendo Switch
発売日:2023年5月12日
価格:パッケージ版:7,920円(税込)/ダウンロード版:7,900円(税込)
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対応機種:Nintendo Switch/Wii U
発売日:2017年3月3日
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